360億円もの負債を抱え、事業再生ADRを申請した山形屋。28日、債権者会議が開かれ、山形屋が提示した事業再生計画案に17社の金融機関が合意し、計画が実行に移されることになりました。

28日午後、鹿児島市で開かれた債権者会議の会場には、続々と金融機関の担当者が入っていきました。

山形屋グループは去年12月、経営悪化を受けて、事業を続けながら迅速な経営再建を目指す「事業再生ADR」を申請。負債総額はおよそ360億円で、債権を持つメインバンクの鹿児島銀行を含めた17社の金融機関に対し、事業再生計画案を提示していました。

関係者によりますと、ホールディングス体制の役員人事案は、取締役5人のうち鹿児島銀行から2人、東京のファンド運営会社から1人を派遣するもので、会長には鹿児島銀行からの出向者、代表取締役社長には現在の山形屋会長・岩元純吉さん、取締役には現在の山形屋社長・岩元修士さんの名前があがっていました。

鹿児島市で28日午後1時から開かれた債権者会議は、およそ20分で終了しました。

(記者)「再建計画に合意しましたか?」
(金融機関担当者)「……(無言)」

山形屋によりますと、28日の会議では、山形屋が策定した事業再生計画案を債権者である17の金融機関がすべて同意したということで、再生計画は実行に移されることになりました。

山形屋が発表した中期事業計画によりますと、5年間の達成目標として
▼ホールディングス会社の設立やグループ会社の合併などによる運営効率化
▼新たなテナント導入やリモデルによる店舗活性化
▼デジタル活用を含む業務改革の推進
などを掲げています。各店舗の閉鎖や従業員の早期退職やリストラは予定していません。

また、グループ24社連結の目標営業利益率を昨年度の0.5%から、5年後には4倍の2%まで引きあげるとしています。

事業再建計画の案が了承されたことで経営立て直しへの一歩を踏み出した山形屋について、街の人は?

(60代・鹿児島市)「(拍手)すごいですね。とってもうれしいので、県民としてぜひ頑張っていただきたいと思っています」

(60代・瀬戸内町)「たまに来る私たちだけど、鹿児島のシンボルだから、どうにか存続できればいい」

(20代・薩摩川内市)「(山形屋には)天文館に来たときは行くかも。親世代とかも山形屋は結構利用しているので、なくなったら悲しい」

(70代・鹿屋市)「若い子たちはあまり見ない。今のままの(高級感も)残しつつ、家族でちょこっと寄れたり気楽に買い物ができる雰囲気もあった方がいいのかな。22世紀まで残してほしい」

山形屋グループは大型商業施設との競争激化や、7年にわたる耐震工事などの設備投資にくわえ、新型コロナによる売上低下が重なって経営が悪化していましたが、昨年度は3期連続増収と持ち直していました。

山形屋の岩元修士社長は「お客様や取引金融機関の期待にこたえるべく、責任をもって取り組んでいく」とコメントしています。

一方、メインバンクの鹿児島銀行・郡山明久頭取は「山形屋は鹿児島・宮崎のシンボルとなる唯一無二の地域の財産。取引金融機関とともにしっかりと支えていきたい」とコメントしています。

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