きのう(5月27日)、熊本県内の路線バスなどの運賃が全国交通系ICカードで支払えなくなることがわかりました。きょう(5月28日)はさらに、路面電車の熊本市電も同様の決済方法に変更する方針が明らかになりました。

バスも市電も「全国交通系IC」決済廃止

熊本市電では現在、『Suica』や『PASMO』といった全国交通系ICカードでの支払いが可能です。

しかし、熊本市は約2億円とされる機器の更新費用など、長期的な経営への負担を理由に、来年度(2025年度)で全国交通系ICカードによる決済を廃止すると発表しました。

大西一史熊本市長「2026年4月からバス事業者と同様の運賃支払い方法に変更を予定しています」

熊本県内のバス事業者など5社がきのう(5月27日)発表した決済方法の変更に足並みを揃えた形です。(九州産交バス、産交バス、熊本電鉄、熊本バス、熊本都市バス=2025年の年明けにも変更予定)

熊本市電ではすでにクレジットカードやQRコードでの支払いにも対応していますが、全国交通系ICカードを利用する客の割合は36%と路線バスよりも多く、決済方法の変更の周知が課題となりそうです。(バス事業者は24%)

影響は?街の声を聞いてみた

熊本県内では、JR以外のほとんどの運賃支払いで全国交通系ICカードが使えなくなります。利用者の受け止めを聞いてみました。

全国交通系ICカードの利用者
「え?なんで?びっくり。だってあんなに便利なのに」
「ほんと?バスは来年?」

全国交通系ICカードの利用者「熊本だけじゃなくて東京でも使うので、不便ですね」

全国交通系ICカードの利用者からは、驚きの声が広がっています。

JRとバスの両方を使う学生も…。

専門学生
「現金はじゃらじゃらして面倒くさい。JRとバスでカードを使い分けるのは不便だと思う」

一方で、県内のバスや市電で使える「くまモンのICカード」の利用者からは「影響を感じない」という声もありした。

【左】くまモンのICカード(利用可能)【右】Suica(利用不可へ)

普段どのような方法で運賃を支払っているのかをバスの利用者50人に聞いたところ、『Suica』など全国交通系ICカードの利用が過半数という結果でした。利用者の戸惑いは大きいようです。

<アンケート結果>
全国交通系ICカード・・・31
現金・・・16
くまモンのICカード・・・13

決済廃止の理由は?

きのう(5月27日)バスなどの決済廃止についてニュース番組で放送すると、番組には「ますますバス離れが進みそう」「学生が不便にならずバスを利用できたら」などの声が寄せられました。

全国交通系ICカードは『Suica』や『PASMO』、『nimoca』など多岐にわたります。最近は、スマートウォッチやスマホにアプリを入れて使う人も多くいます。

しかし、事業者にとっては「カードを読み取る機械」の更新費用が重荷となっています。全国交通系ICカードの場合は熊本県内のバスと熊本電鉄の5社で約12億円かかる一方、クレジットカードによるタッチ決済では半額の約6億円で済むのがメリットです。

しかしそれでも負担が重いとして、5社は熊本市や県などに支援を求めています。

では、クレジットカードの普及率はどれくらいなのでしょうか?熊本市交通局の利用者アンケートでは、クレジットカード決済の利用は約19%にとどまっています。

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