6月、浦添市に新たな通所介護施設がオープンする。昼はデイサービス、夕方はフィットネスジムと2つの顔を持つこの施設を運営するのは、沖縄県民に親しまれるあの ”冷たいスイーツ” を提供する飲食店。介護事業に参入する背景を取材したー

通所介護施設とジムを兼ねた施設を経営するのは…

まるでカフェのような空間に、トップアスリートも使用するという様々な最新機器が並ぶのは、6月3日に浦添市のてだこ浦西駅近くにオープンする通所介護施設「RELIFE」。

平日朝9時から夕方5時までは、通所介護施設。夕方5時以降は、フィットネスジムとして営業する2つの顔を持つ。この施設を立ち上げたのは―

▽スタッフ
「富士家ぜんざいになりまーす!」
1992年創業の富士家。自社工場で作る甘く煮た金時豆と柔らかい白玉が富士家ぜんざいの特徴だ。

社長の大嶺隆さんが、自宅近くにできたピザ店をヒントに、ぜんざいのデリバリーを始め、瞬く間に人気が広がった。そんな富士家が、なぜ介護事業を始めることになったのか。

▽大嶺隆社長(57)
「おやじ、おふくろの介護のなかで、そういう施設を何か所か回ったんですね。僕のイメージからすると、病院だとか、行きたいと思うもの(施設)を介護でどうにかできないかと」

大嶺社長自身が親を介護するなか、「これまでのイメージを覆すような通所介護施設をつくりたい」そんな思いが芽生えたのだという。

「飲食店と一緒で、光の感じや風通し、居心地が良いとか、そういう気持ちになれるような内装を心がけました。初めての挑戦なのでワクワクしかないが、愛されるデイサービス事業ができたらいいと思っています」

異業種の介護参入には 強い味方も

富士家の介護事業参入には、もう1人、鍵となる人物がいる。田場恵介さん(46)。富士家に入社する前は、介護福祉士として26年間、福祉の現場で働いてきた異色の経歴の持ち主だ。

▽田場恵介さん(46)
「ある意味見えないプレッシャーもあるので、どぎまぎしながら、楽しんでやっている」


▽大嶺隆社長(57)
「15年~20年前からの波乗りの仲間で、僕が先輩ですけど、(親の介護について)よく相談していたんですね。またやっていた仕事に戻るのっていう形だったが、僕が説得してやろうってことになった」

田場さんは、この施設のオープンに至ったのは、通所介護施設を取り巻く ”ある課題” も背景にあったと教えてくれた。

▽田場恵介さん(46)
「各事業所さん、模索しながら色んな事業を展開してきたとは思うが、市場が高齢者中心というので、「第2号被保険者」が見落とされているのが現状」

介護保険の加入者は、65歳以上の「第1号被保険者」と40歳~64歳の「第2号被保険者」に分けられる。

沖縄県のデータ(2024年1月末時点)では、支援や介護を必要とする人、約6万3000人のうち「第2号被保険者」は全体の2.5%。

県理学療法士協会は、圧倒的に多い65歳以上を対象にした通所介護施設が多くならざるを得ず、40歳~64歳の「第2号被保険者」が職場復帰に向けた十分なリハビリを行える施設は、少ないとしている。

▽田場恵介さん(46)
「若い方たちが埋もれているということに気づいた。リハビリや運動特化型のデイサービスはあるが、若い層が求めているリハビリではないのが現状」

楽しく「できないものができるようになる」を体感できる施設に


オープンする「RELIFE」は、40歳~64歳の「第2号被保険者」もターゲットに加え、フィットネスジムの運営を担う「B-mind」と連携し、特定疾病などを含むリハビリ全般をサポートする方針だ。

▽田場恵介さん(46)
「正直に言うと、自分に何かあったときに自分が通える施設をつくりたい、というのも根本にある。ここに来ることによって楽しくリハビリ的なものができて、少しでも、できないものができるようになることを体感できる施設でありたい」

楽しく、そして、誰もが通いやすい施設を目指して。ぜんざいの富士家が福祉の分野で新たな挑戦を始めるー。

(取材後記)
リハビリをめぐる課題は様々ある。保険が適用される医療機関でのリハビリには日数制限があり、それを越えてリハビリが必要な場合、自分の住む地域で復職を見据えたリハビリができる施設を探すことが難しかったり、施設に通うことを ”恥ずかしい” と躊躇してしまったりする人も少なくないそうだ。新施設が多くの方々が通える施設になることを期待したい。(取材:NEWS Linkキャスター 與那嶺啓)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。