台風1号が前線にもたらす湿った空気の影響で、近畿地方は5月28日未明から大雨になっています。夕方にかけて低い土地の浸水や土砂災害に警戒が必要です。前田智宏気象予報士の解説です(28日午後4時ごろ現在の情報)。

 低気圧に伴う発達した雨雲が東へ進んでいて、近畿地方は現在、雨のピークになっているような状況です。子どもの下校時間と重なりますので、十分気を付けてください。

 この時間までに降った雨の量を見てみますと、近畿地方でも24時間雨量が100ミリ超えたところが多くなってきています。神戸は157ミリの雨となっていまして、5月として観測史上一番多い雨の量となっています。だいたい5月の1か月分以上の雨の量が降ってしまっている状況です。

 兵庫県の南部が特に雨の量が多くなっていて、そのほかにも四国では1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降ったところがありました。徳島県内も三好市ですでに300ミリ近い雨が降っていて、土砂災害の危険性が高くなっている状況です。雨がやんだとしてもこれから川が増水するおそれがありますので、河川や崖の危ないところには絶対に近づかないようにしてください。雨のピークの時間を避けて移動するのも一つの方法です。

 土砂災害警戒情報が徳島県や和歌山県の一部に出ていています。大雨警報が、大阪府・兵庫県・京都府・滋賀県・和歌山県・徳島県など広い範囲に出ています。洪水警報も兵庫県や京都府の広い範囲、和歌山県と徳島県にも発表されています。

 近畿では28日午後7時くらいになるとようやく東の方へと雨雲が抜けていく見通しで、あと数時間は雨のピークとなるため、引き続き警戒を続けてください。

 この大雨は台風1号が影響しています。台風1号は今、フィリピンの東の海上にあります。日本からはかなり離れていますが、間接的に影響しています。台風は熱帯生まれの低気圧ですので、非常に暖かく湿った空気をまとっています。日本の本州付近には梅雨前線や低気圧がある状況で、台風周辺の暖かく湿った空気が南風で前線の方に向かって流れ込んできています。それによって前線や低気圧の活動が活発になってしまうわけです。台風が直接大雨をもたらしているわけではありませんが、湿った空気が前線の活動に影響して、大雨になっています。

 台風は今後、だんだんと日本に近づいていきますが、そのときは前線などが離れていきますので、近畿の大雨はいったんきょうまでとなりそうです。台風は29日が発達のピークとなりそうで、30日以降は弱まりながら日本の南の海上を北東へ進んでいく見通しです。

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