山口はじっこニュース。今日のテーマは・・・四角い会社の丸い取り組み。

ふっくらとした焼き上がり、きらめく出汁。粉にこだわり、たどり着いた美しい球体・・・秘伝 だしたこ焼き!

タコの丸 店主
「中がふわっと、外がカリッと仕上がるようにというのが、こだわりになっています。生地にも秘伝ダシを入れているんですけど、冷めてもおいしいし、ソースとかお出汁とか、何もかけない状態でも味がしっかりついているのでそれでもやっぱりうちの秘伝ダシが一番本当においしいと思っているので」

多いときには1日に200パック売れる大人気のたこ焼きです。販売しているのは、キッチンカー「タコの丸」。もちっとした食感が特長のポテトや、肉吸い、水餃子など、キッチンカーでは珍しいものも味わえます。ただ、このキッチンカーがあるのは・・・会社の中!

キッチンカーが会社の中に?そのワケは

そう、こちら…言わば、社員食堂なんです。取り入れているのは、山口県萩市にある美萩工芸。

従業員
「毎週楽しいですよ」
別の従業員
「遊び心はあると思いますよ」
別の従業員
「お祭りというか縁日みたいな感じで、面白くはありますよね。お弁当があるんですけど、せっかくだから肉吸い頼むか、水餃子を頼むかという感じですよね。汁物の代わりとして」

キッチンカー を提案 刀祢大輔事務長
「もともと、社員食堂がなかったものですから、お昼休みのランチ困難者になる人も結構多かったんですよね。こういったキッチンカーを呼ぶのも面白いんじゃないかなというところから始まりましたね」

現在は週に3回、2台のキッチンカーに来てもらっています。

一風変わった取り組みを行う美萩工芸は、今年で創業53年。実は、全国的にもめずらしい、あるものを作っている会社なんです。それが・・・

贈答用の木箱。

中に入るのは、伝統工芸品「萩焼」や、山口の銘酒など。貴重なものを納めるとだけあって、熟練の職人たちが丁寧に仕上げる製品は、包装用の木箱でありながら、
それ自体が工芸品とうたわれるほど、高い品質を誇ります。

従業員
「商品が入るものなので、きれいにお客さんにお届けしたいと思っています」
別の従業員
「木箱をとにかくきれいに丁寧に、完璧に切れるようになりたいなと」
別の従業員
「やる以上は誇りを持って、仕事に取り組んでいきたいなと思っています」

従業員たちがやる気に満ち溢れている会社。そんな美萩工芸には、キッチンカーの他にも充実した福利厚生が!

刀祢事務長
「10時の休憩と、お昼の休憩と、15時の休憩。ところどころ休憩を挟んで、集中力が切れないように作業をしていただいています」

さらに、夏場には自販機のジュースが一部50円になるなど、配慮が行き届いているんです。

(Q.なんでそんなに手厚いんですか?
刀祢事務長
「当社は『四方よし』という経営理念を掲げておりまして。元々は、近江商人の経営哲学として『三方よし』というのがございます」

近江商人とは近江の国、現在の滋賀県に本家を置き、他国へ行商して歩いた商人の総称。そこで提唱されていた「三方よし」とは、「商売において売り手と買い手が満足するのは当然。社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方です。

そこに「働き手」を加え「四方」としたのが、美萩工芸の経営理念「四方よし」です。

刀祢事務長
「もともと萩市内で立ち上げてきて、萩市に貢献してということを考えると、やはり従業員の皆さんに幸せになってほしい」というところが強くありますので、そういった考えから、この三方ではなく『四方よし』というのを経営理念としております」

だからこそ、あの手この手で福利厚生の充実を図っているんですね。ただ、ひとつ問題が・・・

経営理念、社員はというと・・・

(Q.経営理念をご存じですか?)
従業員
「経営理念ですよね?はい。アハハハハハハハハ」
別の従業員
「そこまでは、覚えていない」

せっかくの経営理念が、社員に把握されていない。

刀祢事務長
「四方よし自体も」社長が新しく作られて・・・」

そう、数年前に取り入れたばかり。現在、絶賛宣伝中なんです。では、そもそもなぜ、新たな経営理念を掲げたのでしょうか?

刀祢事務長
「福利厚生の面でも重要だと思うんですけれども、会社自体が楽しいと思ってもらえることが重要なのかなと。楽しいと思ってくれれば、例えば友達に『うちこんな会社なんだよ』と言ってもらえますし、そこからまた新しい人材の確保ですとか、若い方が来てくれて会社の活性化ですとか、そういったことに繋がっていくんじゃないかなと思っております」

会社の発展には、楽しい職場づくりが不可欠 とのこと。理念こそ覚えてもらえていないものの、その思いは確かに従業員たちに届いているようです。

従業員
「みんな言いたいことを言える仲間なので、不満は言っているので、
そんなに不満はないですね」
別の従業員
「和気あいあいと言ったらおかしいんですけど、仕事は仕事、楽しいところは楽しいところ。そういう会社ですね」
別の従業員
「たまにご飯に連れて行ってもらったり、いろいろあります。人はみんな温かくて、ミスしてもみんなで助け合ってみたいな感じです」

会社のさらなる発展に向け、最後にひとつ、聞いてみました。

(Q.木箱に、これから先、何を詰めていきたいですか?)
刀祢事務長
「受け取ったお客様に喜んでもらえるように、木箱に「真心」を。その木箱で、お客様の真心を包んでいただいて、その真心が、さらにそのお客様のお客様に繋がっていけばと願っております」

四方よし。四角い木箱の中には、会社の「至宝」、従業員を大切にしたいという
経営陣の真心がいっぱいに詰まっていました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。