1995年に起きた国松孝次(たかじ)警察庁長官(当時)銃撃事件で、狙撃犯の可能性があるとして警視庁の捜査線上に浮上したこともある中村泰(ひろし)受刑者(94)=別事件で服役=が、今月22日に東日本成人矯正医療センター(東京都昭島市)で死亡していたことが、関係者への取材で分かった。数年前から同施設で過ごしていたといい、老衰とみられる。

現金輸送車襲撃事件で取り押さえられた中村泰受刑者=2002年11月、名古屋市で

 中村受刑者は、大阪と名古屋での現金輸送車襲撃事件などで無期懲役の判決が確定、服役していた。2003年、警視庁などが、三重県名張市の関係先を捜索した際、長官銃撃事件への関与をうかがわせるデータが見つかった。生前、本紙の取材に対して、銃撃を認めていた。  長官銃撃事件について、警視庁は警察トップを狙ったテロ事件として、延べ約48万人の捜査員を投入したが、容疑者を特定する証拠は得られなかった。2010年、公訴時効を迎え、未解決のまま捜査は終結。当時の青木五郎公安部長は会見で「オウム真理教の組織的テロ」と総括したが、批判を浴びた。  事件は1995年3月30日午前8時半ごろ、東京都荒川区で、出勤のため自宅を出た国松長官が狙撃され、4発中3発が命中。犯人は自転車で逃走した。長官は一時意識不明の重体だったが、2カ月半後に公務に復帰した。(鈴鹿雄大) 

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