「自分の手話で学びたい…」 小学生の訴えです。
北海道立のろう学校の児童らが、日常的に使う手話で授業が受けられないのは憲法に違反すると訴え賠償を求めた裁判で、裁判所が下した判断は。
 
 訴えを起こしているのは、北海道立札幌ろう学校に通う5年生の男子児童と、去年卒業した中学2年生の女子生徒です。

2人は、日常的に「日本手話」を使っていますが、2022年までに「日本手話」ができる教諭が相次いで退職や休職。

代わりに「日本語対応手話」教諭になり、授業で言語が通じないストレスから学校を休みがちになったと主張しています。

憲法が保障するなどを侵害されたとして北海道に対し、あわせて1100万円の賠償を求めています。

 ところで、2つの手話にはどんな違いがあるのでしょうか。

まず「日本手話」で「佐藤さんはどこですか?」を表現します。

次に「日本語対応手話」で表現するとこうなります。

2つを並べてみると違いは一目瞭然です。

日本手話は、手の動きやうなずきなどの顔の表情で表現し、生まれつき、聴覚障害がある人の母語として使っているとされます。

一方、日本語対応手話は、手指日本語とも呼ばれ、日本語の単語、語順に対応しています。

関西学院大学手話言語研究センター 下谷奈津子主任研究員
「ろう者には日本手話で会話することが望ましい。日本語対応手話もわからないわけではないが、非常に頭の中に負荷がかかる。わたしたちが英語を聞いてこういう意味かな、なんて第一言語に置き換えているイメージ」

札幌地裁は、24日の判決で、「日本手話でひととおりの授業を提供するのではなく、その他のコミュニケーション手段も用いて、授業を提供することは、不合理な差別的取り扱いには当たらない」「日本手話による教育を受ける権利を具体化する立法措置はされていないから、憲法上の具体的権利となっていない」として、児童らの訴えを棄却しました。

原告の母
「『第一言語を奪われる』わかってもらいたいと娘は話していた。私たちが想像している以上につらく苦しい部分がある。(裁判所も)想像できるのではないかと思うが、問いかけてみてもやはり、そこはかなわないことなんだなと」

児童たちは、今後、控訴するかを検討すると話しています。


判決理由をあらためて確認します。

・日本手話で教育を受ける権利は立法措置されていない
・教員確保の困難性
・同一指導で児童の将来の自立を促す
・他のコミュニケーションの活用で一定水準の授業が提供できる、としています。

北海道教育委員会は「日本手話を含む手話を活用しながら、学習指導要領に基づく教育活動を進めてまいります」とコメントしています。

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