進行性の難病筋ジストロフィーのため、車いすでの生活を送る女性が子育てに励んでいます。命がけで臨んだ出産から6年、家族の日常からは命の尊さが見えてきます。

妊娠6か月…緊急手術で出産

大分県日田市大山町に住む刀根実幸さん(37)。車いすのママです。筋力が弱っていく難病の筋ジストロフィーを抱えながら夫の徹朗さん(41)や両親とともに娘の未来ちゃん(6)を育てています。

実幸さんが先天性進行性筋ジストロフィーと診断されたのは、生後11か月の頃。医師からは「20歳までは生きられないだろう」と告げられました。

(母・河津真由美さん)「3歳を乗り越えられるかなみたいな風にいわれて…入院するたびに隣の部屋のお子さんが亡くなった時、次はうちの子かなとか思ったりしました」

実幸さんの運動機能は徐々に低下していきましたが、その時々でできることを一生懸命やってきました。

人工呼吸器が必要になった今は、こまめな痰の吸引や体の向きの変換などつきっきりのケアが欠かせません。

(母・河津真由美さん)「全然変わりました。出産前はちょっとでも留守番とかさせることができたけど、今はちょっと怖いですね」

10年前に徹朗さんと結婚した実幸さん。障害が重くなるきっかけとなったのは妊娠と出産でした。妊娠6か月の頃、容体が急変し、緊急手術で出産。命の危機をなんとか乗り越え、出産から1か月後、ようやく未来ちゃんとの初対面を果たすことができました。

未来に希望をもって生きてほしい

出産を境に自発呼吸と口から食べることができなくなった実幸さん。できないことは増えましたが、未来ちゃんと共に過ごす日々を大切にしています。体への負担を承知の上で出産を決意した実幸さん。母になるのが夢でした。

(刀根実幸さん)「すごく子供が好きだから自分の子供がほしかった」

(母・河津真由美さん)「私はこの人の命の方が大事というのがあったので複雑でした。でも産むとなってからはこの人の後悔を残すわけにはいかないから協力するしかないと思いました」

結婚から10年を迎えた刀根さん夫妻。6年前、1055グラムで生まれた未来ちゃんはすくすくと成長し、この春1年生になりました。

(夫・徹朗さん)「未来ちゃん自身が大きくなることで、ママがどんだけ頑張って産んでくれたのかっていう風なこともしっかり伝えていかなければいけないなと思うので、未来ちゃんが自分の名前を誇れるような日が来る、そういうこの先の10年にしていきたい」

未来ちゃんと名づけたのは実幸さん。『未来に希望をもって生きてほしい』という思いが込められています。そして、母になった実幸さんは新しい夢を抱いています。

(刀根実幸さん)「未来ちゃんの結婚式に出られるように、それが今の夢です」

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