去年から続く「政治とカネ」を巡る問題。
この問題の根底でもある政治資金収支報告書のあり方について考えます。

芹沢年延記者:
まず、そもそも、この政治資金収支報告書、簡単に言えば政治家にとってのお金の出し入れを記録した決算報告書のようなものなんです。
毎年11月に前の年の物が公表されています。
今回の政治とカネの問題も大学教授が政治資金収支報告書を調べあげて、裏金疑惑を告発した事が発端となっています。

小嶋優キャスター:
山梨県内でも長崎知事の資金管理団体が現金1182万円を記載していなかったとして問題になりましたね。

芹沢記者:
はい、一連の取材の過程で私も公開されている収支報告書を洗い直したりしました。ですが一言で言うと「めんどうでわかりにくい」。



正直に、かなり骨の折れる作業だと感じましたが、それは主に2つの理由です。
(1)政治家が関わる報告書がバラバラになっている。
(2)公開期間が設けられているという点です。



まず、(1)について見ていきます。
UTYでは全国の都道府県の選挙管理委員会にアンケート調査を行いました。
その結果、収支報告書をインターネットと文書で公開しているのは33。インターネットだけの公開は14ありました。

小嶋キャスター:
足すと47ですから、全ての都道府県でインターネットで公開。簡単にネットで見られることから負担は少なくなったのかなと?

芹沢記者:
確かに昔よりは楽かもしれませんが、政治家が関連する団体は資金管理団体や政党支部など複数ある場合が多く、提出先も総務省や都道府県選管に分かれています。

その上、この団体間でのお金のやり取りがあったり、全体のお金の流れを把握するのは、なかなか簡単ではありません。


また政治資金収支報告書は報告書がPDFつまり「画像」として公開されています。ですので、そこに書かれている単語が検索にひっかからない場合もあり、お金のやり取りの相手先を1つ1つ見ていかなければなりません。
こうしたわかりづらさを専門家も課題として指摘しています。

大正大学 江藤俊昭教授

地方行政学が専門 大正大学 江藤俊昭教授:
「容易にアクセスしやすいシステムを作るというのが本来必要なのですが、どうしても政治家の立場からすると個々バラバラにして、まとめあげないような法律を作ってしまうところは、今のシステムからいうと個々の議員については体系的に総合的にチェックできないんですね。これを紐づけるというか、全体的に時系列的にチェックできるというシステム、政治家の問題を簡単に容易にチェックできるシステムを政治家自ら考えていかなければいけないのではないか」

小嶋キャスター:
そして(2)の公開期間が設けられているこの点は?



芹沢記者:
はい、政治資金収支報告書の公開期間は3年間です。今回、公開期間が過ぎた報告書の扱いについても問いました。その結果、43の都道府県が廃棄すると回答しました。

小嶋キャスター:
そうしますと期間が過ぎてしまうと過去の分は見られなくなってしまうのですか?

芹沢記者:
いえ、実は都道府県の公報にも収支報告書の要旨などが掲載されている場合がありますので、その場合はさかのぼって調べる事はできます。
ただ、ネットでの公開を機にこの公報への掲載をやめた自治体もあります。
今回のアンケートでは現在、公報に掲載していないという回答は37ありました。

山梨もそうなので例にしますと、2017年分からネットでの公開を機に公報への掲載をやめています。


ただそうしますと現在公開されている2020年分より前、2017年から3年間は県の公報からも見つける事が出来ないわけです。

そして今後、時が経ち、公開期間が終えたものが増えていくにつれて、県のホームページや公報では見られないものが増えていく事になります。
こうした問題についても専門家に聞きました。

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