元日に起きた能登半島地震で、新潟市に大きな被害をもたらした液状化現象について、新潟大学が緊急調査の結果を報告し、その土地の成り立ちが原因で被害が拡大したとの見方を示しました。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志所長】
「次の世代につなぐためにどういう事が必要なのか、これが災害復旧ですのでやるしかない。これが重要」

新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志所長が報告したのは、新潟市の液状化被害について行った緊急調査の結果です。
この調査は、被害が大きかった新潟市西区などで卜部所長を中心に新潟大学が独自で行いました。

寺尾地区や善久地区などで地盤の強さを測り、地層のサンプルを採取。
液状化現象がどれくらいの深さで発生したのかを調べました。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志所長】
「砂なんだけど、固い地盤じゃない…」

かつて信濃川が流れていた善久やときめき西などは、およそ12mの深さまで砂の地盤だったということです。
中でも1~3mの部分の地盤がやわらかくなっていて、最も液状化がしやすい砂の細かい粒が地下水で満たされていたため、液状化現象が起きたということです。

また寺尾地区では、埋め立てに使った砂丘の砂が関係していたことがわかったということです。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志所長】
「寺尾の盛り土の砂は全部均質な砂で、一番液液状化しやすい」

砂丘の砂は粒が揃っているために液状化しやすいうえに、被害が大きかった寺尾東では周辺との高低差を埋めるため盛り土部分が厚くなっていて、被害が拡大したと新潟大学災害・復興科学研究所の卜部厚志所長は話しています。

一方、1964年の新潟地震で液状化現象の大きな被害を受けた新潟市中央区は、今回の地震では西区に比べ被害が少なかったと言えます。
卜部厚志所長はこの違いについて、中央区では砂の地盤と泥の地盤が交互に重なっていて、液状化した砂の層が薄かったことが要因だとしました。

卜部所長は今回の調査結果を通して、行政や被災者などに液状化についての理解を深めて欲しいとしたうえで、地下水の水位を下げたり、砂の粒を締め固めたりする液状化対策についても紹介しました。

【新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部厚志所長】
「大学のグラウンドは今回液状化していない。調べてみると地下水の水位が地表から5mくらい下にあればいいのかなと。新潟地震に続き液状化現象による被害が、我々の町では2回おきたが3回目は…、というスタンスが大事です」

この調査結果を卜部所長は、15日午後に新潟市役所で開かれた「復旧・復興推進本部会議」で中原八一市長らに報告しました。

【中原八一市長】
「被災者の皆さんに理解していただくためには、どのように説明するとこの事業の理解をしやすくなるのか?」
【卜部厚志所長】
「今の状態の復興と、『5年くらいかかるが、西区寺尾を強くしたいんだ』というところとを伝えていくのがスタートになる」

【中原八一市長】
「液状化対策はこれからの新潟市の安心安全な街づくりのために必要であり、全面的な液状化対策をやることによって、将来はちゃんと地震にも強い西区になるんだということを皆さんからご理解いただけるような、大きな事業を実現できればと考えています」

新潟市は今年度中に、エリアごとの対策について取りまとめたいとしています。

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