地下室など屋内の狭い空間でも杭を打つことができるコンパクトな重機を甲府市の建設会社が開発しました。
この重機は線状降水帯のような激しい雨に対する防災工事でも活躍が期待できるとしています。
開発された重機は地面深くに杭を打つことができる装置で、通常この分野の重機は高さ約13mの支柱がありますが、新型機の高さはわずか2.99mしかありません。
また、現場に移動した後、使わない無限軌道のクローラーを外して、キャスターに付け替え、その分コンパクトにすることが可能です。
コンパクトなため、これまで困難だった地下室のような狭い空間に入り、壁際近くまで接近して杭を打つことができるようになりました。
更に、動力も従来のディーゼルエンジンではなく外部電源を使った電動油圧式で、排気ガスを出さないため作業員の労働環境が大幅に改善されます。
また、エンジンの騒音が軽減されるため、作業中の近隣へ負担も緩和が期待できるとしています。
この重機を開発したのは甲府市の建設会社山本基礎工業で、22日から千葉県の幕張メッセで始まった建設関係の最先端技術を紹介する「建設・測量生産性向上展」で公開されました。
山本基礎工業は2009年からコンパクトな杭打ちの重機を開発と改良を重ねてきていて、新型ははじめて3mを切る低さを達成しました。
会場を訪れた建設関係者は新型重機のメリットを評価していました。
建設関係者:
「材料費が高騰していて既存施設の補強が多くなっているので、構造物があっても入れる」
「高速道路を2車線から4車線に拡幅するような工事で需要があると思う」
山本基礎工業 山本武一社長:
「環境にやさしい機械。この低い機械を地下に入れて、煙(排気ガス)を出さずに補強工事ができる。(建物の)上は営業をしていて、(利用客は)知らないまま基礎工事が終わっている。原価も安くできる」
山本基礎工業ではこのコンパクトな杭打ち重機は線状降水帯のような激しい大雨に対する防災工事でも活用できるとしています。
杭を設置するのと同じ要領で地下に円筒形のタンクをいくつも設置し、そこに大雨の時に溢れた雨水を一時的に貯める、いわば貯水槽を造るのです。
しかも、すでに建物があっても重機がコンパクトなため、道路のアンダーパスや地下街、それに地下駐車場でも設置工事が可能としています。
なお、この展示会は24日までで、ビジネス向けで一般の人は入場できません。
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