20日、富士登山の事前予約が始まりました。21日からは黒い幕が設置されるコンビニエンスストアの“映えスポット”では、週末も多くの外国人観光客の姿がありました。
あくまでも観光名所などではない場所に外国人観光客が殺到してしまう現象が起きています。

■路上駐車に渋滞も…「観光につなげる対策」は?

井上貴博キャスター:
山梨県富士吉田市にある「本町通り」は昭和にタイムスリップしたような商店街などの街並みと、富士山に続いているようにも見える車道が2018年にSNSで話題となりました。

観光客は1日あたり約2000人訪れることもあるようです。▼路上駐車による渋滞、違法行為である▼“白タク”の横行など、問題も起きています。

訪日客への対策も進んでおり、▼警備員を配置、「駐車禁止」や「防犯カメラ作動中」などの張り紙は▼4カ国語で注意喚起。さらに、2024年3月に新設した観光案内所では2か国語(英語・中国語)で対応、渋滞緩和、利便性向上のために駐車場・トイレなどを新たにオープン予定です。

ごく普通の商店街なので、外国人観光客は想定していません。今は外国人観光客はここに来て写真を撮るだけで帰っていってしまい、ただ混雑が生まれるだけで収益につながらない状況です。

富士吉田市の富士山課によると、こうした取り組みで市内の魅力、過ごしやすさを増し、写真撮影のみだった訪日客を市内観光に誘導することが狙いだということです。

ホラン千秋キャスター:
例えば不便な場所であっても、誰かが常に“映えスポット”を発掘して「大変な場所でも行ってみたい」「あの写真を撮ってみたい」という人が増える。それを自治体がアピールする場合、観光客が来たときの受け皿を整備することも必要だと思います。しかし、意図せず爆発的な人気観光スポットになってしまった場合、どう観光客を地元経済に繋げていくのか、観光地として整備していくのか、というのはマンパワーがない自治体にとって課題になると思います。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
意図せず爆発的な人気観光スポットになってしまった場合、やはり準備ができないですよね。「準備ができない場所でどうするか」というと、本来、観光客というのはとてもありがたい面もたくさんありますが、自分の日常圏内である住民にとっては、危険に感じることもあるかもしれない。観光客が駄目なわけではありませんが、「ルールを決める」ということは早急にしなければいけない。だからこそ、いろいろな措置を工夫しているのだと思います。

■訪日客によるレンタカー事故増加 どう対策?

井上キャスター:
観光地だと経済が潤ってプラスの面がとてもありますが、ただそこで生活している住民からすると、ゴミの問題、騒音の問題、危険だけが増していく、何にもいいことがないじゃないか、という声がやはり聞こえてくるわけです。

訪日外国人が増え、レンタカーユーザーが増えているそうです。トヨタレンタリース山梨では1日の予約数は平均80台、8割~9割は訪日外国人だそうです。

トヨタレンタリース山梨の大井渉課長に話を聞くと、「慣れない土地での運転、右ハンドルへの戸惑い、交通ルールの違い、などで週に5件は事故が発生している」そうです。そして、レンタカーの事故件数は2024年3月までに2023年の半数に到達しており、これからも増加していくと考えられます。

そこで富士吉田市の地元の警察署も注意喚起を行っています。日本の交通ルールや、事故が起きた際の110番の呼びかけを英語の啓発チラシを配布しています。

ホランキャスター:
日本にいれば「110番に掛ければ警察、119番に掛ければ救急」とわかりますが、自分が海外に行った際に、緊急の番号を覚えているか、と考えると「そういえばわからないことも多いかも」と思うので、自分たちも気をつけなければいけないな、と思います。

田中ウルヴェ京さん:
海外に行った際に、レンタカーを運転すると決めたとき、そこに責任が出ます。ただ、そのときにその国の言葉がわからない、となると困るはず。だからこそ、英語などいろいろな言語を用意をする、というのは観光客を受け入れる側がやれる範囲ではありますね。

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<プロフィール>

田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士) 五輪メダリスト 慶応義塾大学特任准教授
アスリートの学び場「iMiA(イミア)」主宰

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