あとを絶たない詐欺被害。
さらに、好意を抱かせた上で現金をだまし取る「ロマンス詐欺」など新たな手口も増えています。
動画投稿サイト「YouTube」の営業担当を名乗る不審なメッセージの正体を追跡しました。


4月末、SBCの記者のスマートフォンに、ある不審なメッセージが届きました。

「iPhoneをご利用の皆様へ。私はYouTube社、営業課のColleen(コリーン)と申します」

送り主は動画投稿サイト「YouTube」の営業担当を名乗る人物。


「スマートフォンを使用して、ご自宅でのお仕事に参加していただける機会を提供しています」
「1日につき1万円から2万円の報酬をお支払いいたします」

文末には、興味があれば、「LINE」で連絡をするようにという記載が。

いかにも不審なメッセージであることから、SNS上で「YouTube」「営業課」と、検索すると、こんな書き込みが。

「YouTube社の営業課ってなんだよ」
「LINE登録したらどうなるんだろ」

4月以降、多くの人たちに同じようなメッセージが送られているようです。

SBCでは今年2月、著名人をかたる投資広告の実態を調べるため、「LINE」上で犯人とやり取りをする追跡取材を実施。

アシスタントをかたる人物から投資を勧められる、SNS型投資詐欺の手口に迫りました。

新たな手口とみられる「YouTube」の営業担当を名乗るメッセージ。

今回も追跡取材することにしました。

小口記者:
「では実際にYouTube社の営業を名乗る人物と連絡を取り合い、詐欺の手口を探ってみたいと思います」

「YouTube」の営業担当を名乗る人物から送られてきた不審なメッセージ。

まず、指示された通りに「LINE」の友だち登録をすると・・・


女性の名前と思われるアカウントが表示されました。

苗字はなく、名前が2つ続いていて、いかにも怪しい様子です。

そこに、こちらが興味を持ったことを示すメッセージを送ると、相手から返信が・・・。



「このアルバイトは観客を増やすことを目的とした映画鑑賞です」
「スクリーンショットを撮って、私に送信するだけでタスクが完了します」


動画を視聴しながらスクリーンショット=画面撮影をして、その画像を「LINE」で送信するだけで、1日あたり、5000円から5万円まで稼ぐことができるといいます。

小口記者:
「さらに返信が届きました。動画をスクリーンショットするだけで、150円が支払われると記載されています」

その後、練習用として送られてきた動画をスクリーンショットし、相手に送信しましたが・・・。

その後、連絡は来なくなりました。

警察にこのやりとりについて取材したところ、SNS上で副業を勧められるウラには大きな危険が潜んでいるといいます。


県警特殊詐欺抑止対策室 南沢朗室長:
「高額(の報酬)をもらうためにはプランに入らなければならず、費用が必要とか、操作ミスです違約金を下さいとか、架空の事実でお金を請求する」

この手口での県内での被害はまだ確認されていないといいますが、架空料金請求詐欺などにつながる可能性があります。



さらに、最近、急増している手口があります。

「あなたと一緒に暮らしたい」
「儲けさせてあげたい」

SNS上で送られてくるこれらのメッセージ。

好意や恋愛感情を抱かせて現金をだましとる「ロマンス詐欺」に使われる決まり文句です。


県警特殊詐欺抑止対策室 南沢朗室長:
「(SNSに)投稿した内容について共感をするような、何気ない会話から入っていく」
「最終的にお金の話になっていく」

どのように現金を要求してくるのか、警察への取材をもとに再現します。

まず、被害者の男性が、SNS上に景色の写真を投稿すると、犯人がコメントをして反応してきます。


「きれいな写真ですね」
「友だちになってください」

その後、別のSNS上で本格的に連絡をするようになり、犯人は日常会話などの中で好意を抱かせてきます。

すると・・・

「長野県はどんなところですか」
「できればあなたと一緒に行きたい」
「こちらに来ることがあれば、案内できます」



そして、会う約束にまで発展したところで、お金の話が出てきます。

「投資でとても利益が出ています。ぜひあなたも儲けさせたい」


県警特殊詐欺抑止対策室 南沢朗室長:
「2か月くらい関係を醸成していって、そこからお金の話になってくる」
「将来の生活、結婚、一緒に住むための資金を増やそうというのもある」

この「ロマンス詐欺」は、県内でも今年に入ってから4月末までの間に22件発生し、被害総額は2億4600万円余りに上っています。

男性だけでなく女性も被害に遭っていて、年代は20代から70代と幅広く、中でも60代で多いのが現状です。

2023年の1年間に詐欺の被害にあった人に長野県警がアンケートを行いました。


特徴的なのは、詐欺のきっかけが、SNS、インターネット、ショートメッセージによるものが、およそ4割を占めたことです。

県警は取材に対し「以前は自宅の固定電話にかかってくる割合が高かったが、SNSやインターネット上にシフトしている」としています。

高齢者も含め今や生活の一部になっているSNS上の詐欺手口には十分注意が必要です。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。