文化審議会は17日、8件の建造物を重要文化財に指定するよう文部科学相に答申した。このうち東京都内の建造物は、葛飾区の東京拘置所内にある旧小菅刑務所庁舎と、北区の旧岩淵水門の2件。荒川と隅田川の分岐点に設けられ、住民の暮らしを水害から守り続けた旧岩淵水門は「赤水門」と呼ばれる地域のシンボル。住民たちは「誇りに思う」と喜んだ。

重要文化財に指定される旧岩淵水門=15日、東京都北区で、本社ヘリ「あさづる」から

 午後5時、水門近くの遊歩道で山田加奈子区長が答申を伝えると、集まった住民ら約70人から拍手や歓声が湧いた。地元の岩淵町自治会の石渡良憲会長(76)は「毎日のように眺めている赤水門の偉大さを改めて感じ、すごく誇りに思う」と喜んだ。

旧岩淵水門の前で重要文化財指定に喜ぶ住民ら

 骨組みに鉄筋コンクリートを使った先駆的な水門は、1924(大正13)年完成。全長約62メートルの本体に5門の鋼製引上扉(ひきあげとびら)を備え、両脇に袖壁が取り付けられている。現岩淵水門(青水門)が82年に完成したことに伴い、役目を終えた。近代化産業遺産として保存され、映画やドラマのロケにも活用されている。  山田区長は「荒川放水路の通水100年の節目に、価値が認められてうれしい。赤水門の偉業を地域に伝えて守るとともに、観光面の魅力も広げたい」と話した。都内では葛飾区の旧小菅刑務所庁舎の指定も答申された。(押川恵理子) 

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