クラウドファンディング事業などを行う「READYFOR株式会社」と、若者支援などを行う「認定NPO法人D×P(ディーピー)」は、10年以上取引のない休眠預金等を社会課題解決に使う『休眠預金等活用事業』を利用して、7つの団体に計約2億円の助成を実施しました(2022年)。

対象となった以下の7団体は、食糧提供やオンライン相談、居場所やシェアハウスの提供など、それぞれの事情に則した支援を受けました。

・東日本大震災被災地に住み、経済的困難を抱えている若者(宮城 イシノマキ・ファーム)
・困窮家庭出身の大学・専門学校生(東京 キッズドア)
・風俗業界で働く女性(新潟 風テラス)
・0歳児虐待死を無くす目的での妊婦支援(東京 フローレンス)
・望まない妊娠など、妊娠葛藤を抱える女性(東京 ピッコラーレ)
・不就労・ひきこもり等の事情を抱える若者(神奈川 K2インターナショナルジャパン)
・頼り先のないひとり親家庭などの生活困窮家庭(新潟県フードバンク連絡協議会)

◆「制度を知らない、窓口に行けない、壁がある」

 コロナ禍を経て物価高。いま若者への支援は急増しています。10代の若者の孤立支援に取り組む「認定NPO法人D×P」では、現金給付の支援額が2020年度に比べて2023年度は21倍に、食糧支援数は40倍に増加しています。

そのD×Pなど資金分配団体側が5月16日に都内で会見を開き、今回支援した若者1万2765人のうち2347人から得たアンケート調査結果を報告しました。

D×Pの今井紀明理事長は現場での経験から「子どもたちは制度を知らない、窓口に行けない、電話相談ができない、といった様々な壁がある」と、若者がなかなか相談にたどり着けない現状を話しました。

こうした若者たちは、周囲に頼れる大人がいないことや、真偽が不確かな情報に触れることで、信頼できるセーフティネットや相談窓口にたどり着けずに一層孤立を深めてしまうことも多いということです。

誰かに相談することをためらう傾向も強く、その背景には、以前誰かに相談しても解決しなかった経験や、自分がおかれている状況をうまく言語化できないこと、相談窓口に行っても怒られるのではないか、という不安があると分析しました。

◆「無料・匿名・同じ悩み」解決の糸口か

今回の調査では、若者の相談ニーズとして
「無料で相談できる」が50・9%
「(相談)相手が同じ悩みを持っている」45.5%
「匿名で、自分が誰かを知られない」43.9%
「だれにも相談したくない」も8・3%
という結果でした。

READYFORの市川衛さんは、若者に親しみのあるインターネットやSNSなどのデジタルツールを使って、「無料」「匿名」「相談員も同じ悩みを抱えたことがある」などの条件が整えば、相談へのハードルを下げられる可能性もあると話します。

調査では、「今回サポートを受けて、今後、公的機関やNPOによる何らかの支援を受けてもいいと思うようになりましたか」という質問に対し、8割近くが「支援を受けてもいい」と答えています。

市川さんは「他者に助けを求めて果たされなかった経験がある若者も、一度食料や金銭の支援を受けて『応えてもらえた』という経験をすれば、意識改革ができて次の支援につながる」との期待感を示しました。

今後は、デジタルツールを使った手法を全国の支援団体に広め、継続的な若者支援につなげたいということです。

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