福島県内で長く愛されている老舗の今に迫る「老舗物語」。今回は、再開発が進むいわき駅前で90年以上、街の移り変わりを見てきた映画館にスポットを当てます。いわき市出身の佐藤玲奈(TUFアナウンサー)が行ってきました。
--佐藤アナ「高校生の時は毎週、レイトショーみに来ていましたね~。」
再開発が進むJRいわき駅前。刻一刻と街の姿が変化し続ける中、地域に愛される映画館がそこにあります。「まちポレいわき」。今年で創業93年を迎えます。
--佐藤アナ「こんにちは~お久しぶりです。」
--鈴木修典 社長(まちポレいわき 4代目)「ますますお母さんに似てきたね。」
4代目の社長、鈴木修典(しゅうすけ)さん。
--鈴木社長「生まれた時から映画館の息子なわけだ。私のばあさんあたりからは『あんたは長男だから映画館を継ぎなさいね』と染みこまされていたね。」
1931年に「世界館」という名前で鈴木さんの曽祖父・寅次郎さんが始めた映画館。その後は、「平テアトル」、「ポレポレいわき」と名前を変えながら、鈴木さんは代々受け継がれてきた銀幕を守り続けてきました。
--鈴木社長「ここが映写室です。」
映画館の心臓部分といえる映写室。中には2つの映写機があります。かつては2つの映写機でフィルムを交換しながら上映するのが一般的でした。
--鈴木社長「客席に入って静かなシーンになると、映写機の〝カタカタカタカタ″という音が聞こえてたんだ。これがまたいいんじゃないの?という時代もあったね。」
倉庫には、上映した30年分のポスターも保管されています。1960年代以降、テレビやビデオの普及で映画館を訪れる人は減少していきます。
--鈴木社長「年間1人10回見ていた映画を、80年代には、もう年間1人1回しかみないよっていう状況になって。それと同時に映画館がどんどん減っていった。」
そうした中、鈴木さんの転機となったのが、2011年の東日本大震災です。
--鈴木社長「東京からメーカーさんたちは一切来ないから、自分たちで直せる部分は直して。かけられるプリントをピックアップして。あの時は3館(スクリーン)くらいで始まった。『すいません、ドラえもんやってますか?』ってこれはやっぱりびっくりしたね!」
震災によって改めて感じた映画館の「意義」。
--鈴木社長「まだまだ映画を見たいというお客さんがこんなにいるという。そっからだね。どんな形であれ、残さなきゃいけないなと。」
2019年には、イオンモールいわき小名浜で複合映画館「シネコン」の経営に乗り出した鈴木さん。まちポレいわきは、小名浜との差別化を図るため、シネコンでは上映されていない芸術性の高い作品を多く扱っています。
元々7つあったスクリーンは2つに減らし、ミニシアターとしてその役割を担っています。
--いわき市在住のお客さん「今年は2回、3回くらい。観たいときは大抵ここ。ずっとここに存続してもらいたいです。」
100年近くいわき駅前とともに歩んできた映画館。鈴木さんが目指す映画館の姿があります。
--鈴木社長「いわき駅前に映画、色々なものを集めて昔の街のにぎわいを取り戻したいよな。その中のコンテンツのひとつが映画館である。」
街も、人も、生活も変化していく、いわき駅前。それでも、誰かの心に残る作品を届けるため・・・。「まちポレいわき」は、きょうも上映を続けています。
『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年5月16日放送回より)
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