いわゆる「門前払い」が続いていた普天間基地の辺野古移設をめぐる裁判で15日、一連の裁判では初めて、周辺住民に「原告」として国を訴える資格があると認められた。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1171070?display=1



▽弁護団 白充弁護士
「4人全員について原告適格が認められた」「勝ったぞー」

▽原告・金城武政さん
「(判決で)私が暮らす平時の生活が大事だと言ってくれましたからとても嬉しく思います」

▽原告団の支援者
「(判決は)真っ当な理由だと、本当の裁判をしてくれるとはこういうことだと思った」

裁判所はどんな判断を示したのか

今後の移設計画に与える影響や裁判の行方について、取材した愛久澤力也記者が解説する。

▽愛久澤力也記者
この裁判は、県による辺野古の埋め立て承認撤回処分(2018年)を取り消した国交大臣の裁決は違法だ、として辺野古周辺の住民4人が裁決の取り消しを求めているものです。2022年の判決では住民の原告適格を認めず、退けられていました。今回はその控訴審です。

「原告適格」について簡単に説明すると、「訴訟を起こし判決を受けることが
できる資格」です。これまではほぼ認められず、裁決の違法性を審理する前に「入り口論」で門前払いになっていました

15日の判決で福岡高裁那覇支部の三浦隆志裁判長は、「検討するまでもなく原告適格を有する」として、住民の訴えを退けた一審判決を取り消し、那覇地裁に差し戻すとしました。

原判決を取り消し、那覇地方裁判所に差し戻す」と主文が読みあげられると、傍聴席からは一斉に「おー」という声があがりました。

15日の高裁判決は一審判決と何が違ったのか

▽愛久澤力也記者
一審では、原告らの住居が基地から離れており、直接被害を受けないとして訴訟を起こす資格「原告適格」がないと訴えを退けていました。国土交通大臣が埋め立て承認を取り消した「裁決」が適法だったかどうかについて、実体審理には踏み込みませんでした。

しかし15日の高裁判決では、騒音や振動などにより住民らが健康や生活環境に被害を受ける恐れがあるとして、「検討するまでもなく、原告適格を有する」と示しました。その上で一審で更なる弁論が必要だと、差し戻しています。これまでの裁判のように門前払いされなかったということです。

県が国の裁決の違法性を主張した同様の裁判でも、2022年に最高裁が「都道府県は訴訟を提起する適格を持たない」と判断し、訴えを退けるなど、辺野古移設関連の訴訟では門前払いが続いてきましたが、今回の判決は一石を投じた形になりました。

原告弁護団 今後の裁判は工事の正当性を問う「重要な裁判」

▽弁護団 白充弁護士(判決後の会見)
「この裁判で国土交通大臣の裁決が取り消されれば、沖縄県知事のした公有水面埋立承認撤回処分が復活する(埋め立てが承認されていない状態になる)。すなわち、今国が強行している工事の正当性が根底から否定されることになる重要な裁判である」

▽愛久澤力也記者
今後は、高裁判決を不服として国側が上告した場合、最高裁で争われますが、上告しない場合や、最高裁でも高裁判決が支持さる場合には、地裁で実体審理が行われる見通しです。国道交通省の担当者は「判決内容を十分に精査し関係省庁と協議の上、適切に対応していきたい」としています。

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