田川地区でごみ処理施設を建設する組合の議会が情報公開の重要性を学ぶ勉強会を開催した市議らを刑事告発していた問題で、福岡地検が不起訴としたことが分かりました。

告発されていた田川市長は「そもそも表現の自由や知る権利への侵害だった」としたうえで、「当然の結果」とコメントしています。

発端は「情報公開学ぶ勉強会」

この問題は、田川地区8市町村のごみ処理施設を建設している田川郡東部環境衛生施設組合の議会が、2023年、田川市議4人を組合が設置した調査特別委員会(百条委員会)に出頭しなかったとして刑事告発していたものです。

問題の発端となったのは情報公開の重要性を学ぶために2022年に開催された勉強会で、田川市議が事業費などの透明性を求める発言をしたことです。

組合長が謝罪迫る

組合長を務める大任町の永原譲二町長は「大任町のみが単独でかつ不純な利益を得て、事業を進めているかのような誤った認識を住民に持たせた」と主張して市議に謝罪するよう迫っていました。

「表現の自由・知る権利」市議は謝罪を拒否

これに対し市議側は「表現の自由・市民の知る権利に対して非難されるようなことじゃない」などとして謝罪を拒否。

百条委員会に出頭しなかったことを理由に刑事告発

それから半年以上経った2023年2月、組合議会は、突如調査特別委員会を設置。

4人に出頭を求めましたが拒否されたことから刑事告発していました。

刑事告発は選挙の直前

告発された市議(当時)の1人は投票日が1か月後に迫る田川市長選挙に立候補していた村上卓哉氏でした。

他の市議も統一地方選挙に立候補を表明していたことから、このタイミングでの刑事告発はさまざまな憶測を呼んでいました。

福岡地検市議らを「不起訴に」

ごみ処理施設をめぐり情報公開の重要性に触れたことが刑事告発にまで発展した異常事態。

福岡地検は、5月10日付で刑事告発について「起訴するに足りる証拠がない」として、「不起訴」としました。

田川市・村上市長「不当な圧力。当然の結果」

不起訴について告発されていた田川市の村上卓哉市長は「そもそも表現の自由や知る権利への侵害であることはもとより、不当な圧力であったと考えておりましたので、当然の結果であると感じております」とコメント。

同じく告発されていた田川市議会の佐藤俊一議員は「もともと百条委員会の設置自体がおかしいので、当然の結果だと思います」と話しています。

他にも自治体トップ同士が刑事告訴しあう異常事態

田川地区では、田川市の村上市長がごみ処理施設に関する文書の情報公開をめぐりそのまま請求に応じた場合、施設を建設する組合から出ていくよう求められたなどとして、組合長を務める永原町長を強要未遂の疑いで刑事告訴、田川市議7人が刑事告発しています。

これに対し、永原町長は村上市長と田川市議7人を虚偽告訴と名誉毀損の疑いで告訴・告発。

隣り合う自治体のトップ同士が告訴しあう異例の事態となっていて、こちらについても検察の判断に注目が集まっています。

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