鹿児島市中心部にシェラトン鹿児島が開業して、あす16日で1年です。
鹿児島市初の外資系高級ホテル。利用客には鹿児島特有の傾向もみられ、地域にとって身近で、特別な場所になっているようです。今後の観光の活性化にどう影響していくのか?取材してきました。
去年5月16日にオープンしたシェラトン鹿児島。地上19階建て、客室数は228、鹿児島の食材を楽しめるレストランやカフェ、温泉も備えています。
鹿児島市初の外資系ホテルとして開業して1年。これまで、鹿児島特産の食材を使ったフェアなど地域とシェラトンブランドを融合させた取り組みを展開してきました。1年間の宿泊者数は10万人ほどで稼働率は7割。「当初の想定通りの滑り出し」としています。
レストランやカフェなどは宿泊者以外も利用もでき、大型連休中のランチタイムは、普段の平日の5倍ほどの人が訪れました。
(鹿児島市から)
「その場でシェフが作ってくれて特別感がある。ひょいっと来られるところなのでありがたい」
「敷居が高いイメージもあると思うが、入った瞬間スタッフも笑顔ですてき」
「二十歳の誕生日なので、いいところで食事をしようと思って来た」
「日頃ない体験や時間なので、大切な人と過ごしたい」
シェラトン鹿児島の宿泊者の内訳です。
海外からが3割で、国内からが7割。そして、この国内からの宿泊者のうち3割は鹿児島県内からでした。都市部以外にあるシェラトンのなかでも地元客の多さが際立っているといいます。
(シェラトン鹿児島マーケティング&コミュニケーションズ 井上友マネージャー)「初めての外資系シティホテルなので興味を持っていただけた、近隣に住んでいる方がわざわざ泊まっていただけることはうれしい驚き」
経済の専門家は「高いブランド力に加え、円安が影響している」と見ています。
(九州経済研究所 福留一郎部長)「都心のホテルの客室単価もかなり上がっている。今は円安もあり海外にも行きにくいので、できるだけ近くて割と安く抑えられて、だけど魅力的な新しいところに行きたいならシェラトンに行ってみたいという」
薩摩川内市に住む20代の夫婦です。夫が手術を終え、お祝いとして初めて宿泊しました。
(薩摩川内市から)
「こういうところに泊まったら(手術も)頑張れるかなと」
「ずっとここで暮らしたいぐらい素敵だった」
(Q.何をしている様子?)
「Wi-Fiをつないでいる、Wi-Fi調べているだけでもおしゃれ」
「足湯では10分に1回ぐらいタオルを入れ替えに来てくれた」
「すぐにでも泊まりたい」
外資系ホテルの特別感と地域に開かれた気軽さを備えたシェラトン鹿児島。ホテル会員数は世界中に2億人以上という強力なネットワークによる集客と、特色をいかした地産地消などのサービスで、鹿児島の活性化に貢献したいと話します。
(シェラトン鹿児島マーケティング&コミュニケーションズ 井上友マネージャー)「国内・海外の方に鹿児島の食の魅力を、シェラトン鹿児島ならではのアピールの仕方で、知っていただく機会を使って貢献していきたい」
鹿児島市の老舗高級ホテル・城山ホテル鹿児島です。外資系シェラトンの参入から1年、変化はあったのでしょうか?
(城山ホテル鹿児島 矢野隆一社長)「当ホテルにとってマイナスの大きな影響は、特に受けていないというのが答え。桜島が見える高価格帯の部屋の稼働も落ちていないので、(シェラトン鹿児島との)奪い合いは起こっていないと考えている」
城山ホテルは、客室の改装などにより価格をコロナ禍前から平均で3割引き上げましたが、ことしに入ってからの客室の稼働率は過去最高の85%となりました。
この1年で、欧米からの宿泊者は1.5倍に増加。シェラトンができたことで鹿児島を知る海外の人が増えたことも要因とみています。そのうえで、今後、鹿児島の認知度をさらに上げるためには県内のほかの施設と連携を高めることが必要と話します。
(城山ホテル鹿児島 矢野隆一社長)「たくさんのVIPが訪れるような会合などが開ける環境が整ってきたと思っている。鹿児島に観光客だけでなくVIPのお客様も呼べるように地域と一体となって取り組んでいきたい」
(シェラトン鹿児島マーケティング&コミュニケーションズ 井上友マネージャー)「シェラトンがあるということで注目していただいて、宿泊に繋がる機会・鹿児島を訪れてもらう機会を作る、地域の魅力も盛り込んだビデオを作ってる。海外・県外からのお客様も取り込んでいきたい」
コロナ禍で一時、落ち込んだ観光業。今後は、国内だけでなく海外からの客をどこまで鹿児島に呼び込めるかがカギと話します。
(九州経済研究所 福留一郎部長)「競合というより相乗効果でうまくやっていければ、鹿児島全体にとってもいい。私たちが気付かないようなことを魅力として出すことで、思った以上に付加価値を付けられる。市内全体として取り組むべき」
外資系ホテル開業から1年。記録的な円安もあり、世界から日本が注目されるなか、地域が一体となって“鹿児島”をどうアピールできるのか期待は高まります。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。