島根県松江市にある創業約140年の老舗醤油店「やすもと醤油」。この醤油店が作る燻製ドレッシングが、今、全国から人気を集めています。
そのきっかけとなったのが、4年前にSNSで起きた「やすもと醬油の奇跡。」
明治18年創業で「マルや」の名前で知られるやすもと醤油。島根県産の丸大豆を使うなど原料にもこだわったその味は、長く、松江市民に愛されています。
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「醤油屋は、その蔵その蔵で菌がついているので、その菌によってあみ出される醤油の味になっている。うちの醤油の味と香りが好きだという方が、長年の間、ご贔屓いただいていると思っている」
そんな、伝統あるやすもと醤油のモットーは「食卓を楽しくする面白い調味料開発」。そのモットーに基づき生み出された「燻製ドレッシング」が、全国から注文が殺到する人気商品となっています。
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「口に入れた瞬間に燻製の香りがして、『まるでキャンプ場にいるみたい』という方もいるくらい」
独自の液体燻製技術を開発し、燻製の香りを閉じ込めたこの商品。多くの賞も獲得していますが、その人気に火をつけるきっかけとなったのが、4年前に起きた「やすもと醬油の奇跡。」
X(当時Twitter)の投稿
『「フォロワーが40人もいて、いいねもたくさんついてて メッチャバズってるじゃん!」と上司と同僚が言っていました。』
とのSNSの投稿が大バズり。一夜でフォロワーは、400倍の1万6000人、さらに次の日には、1250倍の5万人まで増えました。
この投稿をした"中の人"は、商品の製造を担当する男性社員。
やすもと醤油"中の人"
「オンラインの注文が、いつも1日2,3件だったが、その日だけで500件くらい。500件きて打ち止めにさせてもらった。注文の数もすごいことになって、そこでようやく会社中が『これとんでもないことになってるぞ』、みたいな」
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「最初は、『でかした!、お前、やっぱりすごいわ』と思ったが、だんだん怖くなった、正直なところ。こんなので、もし、炎上したらどうなっちゃうんだろうという心配がおきた」
しかし、これ以降、燻製ドレッシングの人気は全国区になりました。
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「お客さんが、まず見ただけで『これなんだろう?』と興味を持っていただくような商品で、『食べたらどんな味がするんだろう?』と思っていただいて、買っていただいた時に、『何、この味!?』っていう風な商品を目指して頑張っている」
そんな大人気商品に続けと、去年秋に発売した新商品が「ザクザクドレッシング」。ちょっと変わったこの商品が、またもや大ヒット!
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「食べた人が、『今までにないドレッシングだ』と。『最後までフレークやあられが、ふにゃふにゃにならずにザクザクしてるけど、どうして?』と」
もちろん、この商品もXで絶賛PR中です。
Xの投稿
「ザクザクドレッシングをお持ちのみなさま...今すぐうでんを茹でて。ザクザクをかけるのです...社内が騒然とするほど旨かったのです」
やすもと醤油"中の人"
(Q."うでん"って何ですか?)
「いじってきますねぇ…。ちょっと考え過ぎた結果、うどんを"うでん"と書き間違えて投稿してしまって…。それを皆様や、社長夫人とかにもいじらるような形になった…」
その社長夫人も、"癒し系おとぼけキャラ"として、Xによく登場しています。
Xの投稿:「社長夫人」の社内で会話
「FAXピピー ひゃーザクザクの注文がゾクゾクと!ナンチャッテ♪」
やすもと醤油 安本産業 安本道子 取締役
(Q.結構、いじられてますよね?)
「そうなんですよ。恥ずかしいです、めちゃくちゃ。本当に自然体。そのまんまを、Xで載せてもらっているという感じ」
やすもと醤油 安本産業 安本隆政 代表取締役
「実際は厳しいんですけど(笑)、ゆる~い雰囲気を出しながら、うまくSNSをやってくれてると思っている」
取材した日は、ホームページに掲載するザクザクドレッシングを使ったレシピの開発会議。仲の良いほのぼのとした社風が、やすもと醤油の商品とSNSの人気の秘密のようです。
(開発会議での会話)
中の人「お茶漬けのCMみたい(笑)」
安本専務「めちゃくちゃうまい!」
やすもと醤油"中の人"
「やっぱり商品開発とかでも、みんな一緒になってアイデア出し合ったり、試食したりとかあるので。仲が良かったり、雰囲気がいい部分が、商品づくりにつながっている」
現在のXのフォロワー数は、8万9000人。"中の人"にフォロワー数を増やす秘訣を聞いてみると。
やすもと醤油"中の人"
「X(当時Twitter)を始めて3ヶ月くらいは、フォロワーが5人くらいしかいない状態で運用していて。40人になって『すごい増えた、どうしよう…』みたいな感覚から8万になった。最初は『どう扱っていいのかな、自分じゃうまく運用できないだろうな』と悩んだが、結局、自分に時間やスキルがないので諦めて、『今までと同じ感じで運用しよう。1日1件は投稿しよう』ということだけ決めて、あとは、自分ができることだけやろうというので、ずっとやっている」
「食卓を楽しくする面白い調味料」を目指して、今後も、やすもと醤油の商品とSNS投稿から目が離せません。
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