5月10日、神戸市立王子動物園で、今年3月に死んだメスのジャイアント・パンダ「タンタン」の追悼式が行われました。

 愛らしいその姿から「神戸のお嬢さま」と呼ばれたタンタン。タンタンがやって来たのは、2000年のこと。阪神・淡路大震災で被災した子どもたちの心を癒してあげたいと、オスのコウコウとペアで中国から貸し出されました。公開初日には盛大にイベントが開かれ、震災で落ち込んだ神戸の街に活気をもたらしてくれました。

 2008年、待望の赤ちゃんが誕生するも生後4日目に死んでしまいます。さらに2年後には一緒に暮らしていたオスのコウコウも急死。タンタンはひとりぼっちに…。

 2020年、中国への返還が決定しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期に。翌年には心臓疾患が判明。中国に帰ることなく治療に専念していました。そして、今年3月31日に28歳で死にました。人間でいうと100歳近い年齢でした。

 そして、5月10日、園内で追悼式が行われました。

 (記者リポート 5月10日)「開園前にもかかわらずタンタングッズを持った多くのファンがすでに並んでいます」

 タンタンが王子動物園に来た時から大ファンだという尾崎眞由美さん(60)に話を聞きました。

 (尾崎眞由美さん)「(Q晴れてよかったですね)本当にタンタン晴れ女だなと思って。タンタンの追悼式、落選しちゃったんですけど、タンタンの大好きなお庭で、お話できたらうれしいなと思っています」

 追悼式に参列できるのは、約4000人の応募から抽選に当たった100人のみ。尾崎さんは追悼式に参加できないものの、タンタンが好きだった庭でタンタンと話がしたいと訪れたのです。

 (尾崎眞由美さん)「タンタンが旅立った後もここにいたら(タンタンの)姿が見えるんです。じっとしてたら飼育さんに『なんかおる?』って言われるんですけど、『(タンタンが)見えるのよ、おらせてよ。落ち着くから』って」

 子育てや仕事で忙しい時も、5分でも時間があればタンタンに会いに来ていたという尾崎さん。そこで撮りためたタンタンの写真が仲間内で話題に。パンダ雑誌に声をかけられ、なんとタンタン担当カメラマンに抜擢されました。

 (尾崎眞由美さん)「タンタンが人とのつながりと絆を作ってくれたのが宝物だなって思います」

 タンタンが過ごしたパンダ館を最後に訪れた尾崎さん。花を手向けます。

 午後2時に始まった追悼式。メモリアルムービーが上映されるとすすり泣く人の姿も。長年タンタンを担当した飼育員からメッセージが贈られました。

 (梅元良次飼育員)「あなたと過ごせた16年間、本当にとても楽しかった。ありがとう」

 (神奈川から参列したファン)「おっとりしたところとかほっこりしたところ、タンタンの周りはゆっくり時間が流れていた。その姿がとても好きでしたね」

 一方、抽選に外れた尾崎さんは、いつもタンタンを見ていた場所で、生配信された追悼式の様子を見ていました。

 (尾崎眞由美さん)「タンタンの思い出を悲しいものにしたくないので、これからもずっとずっとタンタン好きで、これからもずっと一緒だよって思いました」

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