水俣病の患者・被害者団体が伊藤環境大臣に苦しい実情を訴える懇談会で、環境省の職員が団体側のマイクの音を絞った問題で、団体側は「許されない行為」と環境大臣に謝罪を求めています。

(記事後半に要望書を全文掲載)

5月1日、水俣病慰霊式の後に、伊藤信太郎環境大臣が患者・被害者団体から話を聞く場として開かれた懇談会での出来事です。


水俣病患者連合 松崎重光 副会長
「私はいつも家内と話していました」
環境省職員
「申し訳ございません 話をまとめて下さい」

発言を続けようとしましたが…マイクから音が出ません。

他の参加者「切られた、スイッチが」

発言時間を過ぎたとして環境省の職員がマイクの音を絞りました。

この対応について伊藤大臣は。

伊藤大臣
「私はマイクを切ったことを認識しておりません」
参加者
「認識できたでしょ?」
「話聞いたと言わないでくださいね。あなた最後まで聞かなかったんだから」

この問題についてきょう(5月7日)午後、林官房長官が言及しました。

林官房長官「(関係者の話を聞く)重要な機会において環境省の対応により、関係者の方々を不快な気持ちにさせてしまったことは適切な対応であったとは言えない」

水俣病の被害者などで作る団体はきょう、環境大臣に謝罪と改めての意見交換の場を求める要望書を郵送しました。

「水俣病被害者の発言制止に対して環境大臣の謝罪を要求するとともに、 被害者の声を真摯に聞く場を改めて設けることを求める要望書」

水俣病被害者・支援者連絡会

2024年5月1日、令和6年水俣病犠牲者慰霊式で環境大臣は「水俣病の拡大を防げなかったことをお詫びし、皆さまが地域で明るく暮らせるよう引き続き医療・福祉の充実に努める」と発言した。

その後、行われた環境大臣と被害者団体との懇談の場で環境省は、被害者たちの発言を3分に制限し、超過すると発言を制止し、マイクの音量を下げ、発言を打ち切らせた。このような行為は、水俣病被害者たちの願いや思いを踏みにじり、苦しみ続ける被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙である。

私たちは、このような行為について満身の怒りをこめて抗議するとともに、 環境大臣に対し、水俣病被害者への謝罪を要求する。

昨年9月27日以降、ノーモア・ミナマタ第2次訴訟において、大阪地裁、熊本地裁、新潟地裁は、合わせて179名の水俣病罹患を認める判決を下した。この三地裁判決は、公健法や特措法でも救済されずに取り残された水俣病被害者がいまだ存在していることと現行の救済制度の誤りを明らかにした。

また、水俣病問題の解決をはかる特措法で政府に義務づけた 「(健康) 調査研究」を14年間も放置し、いまだに実施時期さえ明らかにしていない。

水俣病被害者たちは日に日に高齢化し、医療、介護、福祉の課題は山積してる。

今まさに、水俣病の認定審査や制度の在り方、被害者たちの要望にどのように対応していくのか、国は真摯に対応することが求められているのでる。

環境省が行うべきは、 水俣病被害者たちの思いや願いに真摯に向き合い、 その課題解決のための施策を検討、具体化することにある。

そのためには、被害者や被害者団体との十分に時間をかけた忌憚のない意見交換の場を設けることが求められる。

今回の環境省の行為に断固抗議し、 環境大臣の謝罪を求めるとともに、環境大臣が直接被害者団体と十分時間をとった「意見交換の場」を改めて設けることを要求する。

以上

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