笑顔で太鼓を叩く夫婦。青森県東北町の和太鼓の団体で、中心メンバーだった夫婦です。
さらに活動を広げようとするなか、1月に小川原湖で発生した漁船の転覆事故で亡くなりました。残されたメンバーは、突然の別れから前を向き、2人の遺志を受け継いで歩み出しました。
かけがえのない“仲間”だった夫婦 転覆事故での突然の別れ
東北町を拠点に活動している創作和太鼓の団体・東翔太鼓愛好会。4月28日のこの日は、リーダーの鶴ヶ崎祐岐さんを始め、メンバー全員にとって再出発の舞台。特別な思いで臨みました。
東翔太鼓愛好会 リーダー・鶴ヶ崎祐岐さん(31)
「同じチーム仲間が2人も一気に欠けて…。だったら、みんなでイベントの時に、一緒に2人を思ってやりたいなと思って―」
メンバーに衝撃が走ったのは2024年1月でした。
小川原湖でシジミ漁の漁船が転覆。乗っていた夫婦が命を落としました。この事故で亡くなったのが、東翔太鼓愛好会の中心メンバーだった鶴ヶ崎善貴さんと妻の千夏さんでした―。
太鼓が大好きで、叩くときの笑顔が一番輝いていた 夫婦の遺志を継ぐ
善貴さんは、2015年に結成した愛好会の設立メンバーでリーダー。千夏さんも小中学生のメンバーの面倒を見て、チームを支えました。2人とも太鼓が大好きで、叩いているときの笑顔が一番輝いていたといいます。
2人との突然の別れ。チームは一時活動を自粛しましたが、4月から練習を再開しました。
東翔太鼓愛好会 会長・沼山隆一さん(61)
「残った2人のバチを活用させてもらって、2人の分も残った我々で東翔太鼓これからもっともっと発展させていきたい」
新たなリーダーとなったのは善貴さんの幼馴染み・鶴ヶ崎祐岐さんです。活動を始めるのにあたり、メンバーは善貴さんを中心に作っていた曲「水星」のアレンジを完成させ披露することにしました。
太鼓に思いを乗せて― パフォーマンスを目にした善貴さんの母親は…
東翔太鼓愛好会 リーダー・鶴ヶ崎祐岐さん(31)
「今までの楽しい思いや、ぶつかってケンカした思い、そうやってできた曲なので、考えることはいっぱいありますが、明日は一生懸命叩きたいなと思います」
迎えた本番当日。善貴さん、千夏さんに思いを馳せてバチを握ります。力強く一体感ある音色で観客を引き込む東翔太鼓愛好会。その姿を見守るために駆けつけたのが善貴さんの母親・竹子さんです。
善貴さんがこだわった『演奏者自身も楽しむパフォーマンス』が引き継がれていることが、なによりも嬉しいと言います。
善貴さんの母親・鶴ヶ崎竹子さん(61)
「親としては、地元でパフォーマンスができる機会があったことが嬉しい。(善貴さんは)小中学校では目立つ子ではなかったのでね。本当にそれに、千夏ちゃんも頑張って応援してくれて。それが、こんな形でみんなにつながっていってくれたら、やっぱり嬉しいなって思いました」
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