青森県弘前市の中心部で営業を続けてきた「ジュンク堂書店」が、4月30日で12年の歴史に幕を閉じました。

書店をめぐる環境の変化により「街の書店」は、徐々に姿を消しつつあります。
取材しました。

「街の書店」12年の歴史に幕 背景には…

弘前市土手町の百貨店「中三」にある「ジュンク堂書店」では、営業最終日の4月30日、店内に閉店を知らせる看板が設置されていました。弘前市の「ジュンク堂書店」は2012年にオープンし、県内有数の大型書店として地域の人たちに親しまれてきました。

ジュンク堂書店によりますと、電子書籍の普及や「活字離れ」の影響を受けて売り上げは年々落ち込み、4月30日に12年の歴史に幕を閉じることになりました。

店内には、営業最後の日も市民や近隣の市町村から客が訪れ、地域の書店が姿を消すことを惜しむ声が聞かれました。

青森県内の自治体の4割『書店が存在しない』 消えゆく町の書店の現状

訪れた人は
「今後来れなくなると思えば、ちょっと寂しいですね」

「近所にもだいぶ本屋無くなったんですよ。大型店の。それできょうも30分ぐらい時間かけて来たんですけど、それがまたなくなるということで非常に残念です」

「残念だけど、受け入れるしかない…」

「街の書店」はいま、減少の一途をたどっています。日本出版インフラセンターのまとめによりますと、県内にある書店の数は2023年12月時点で156店舗と、10年前から52店減りました。

また、出版文化を研究する団体の調査では、一店舗も書店がない自治体は16に上り、県内の自治体の4割で書店が存在していないのが現状です。

「書店で本を探す」文化の消滅の危機…

弘前市内で、1人で書店を経営している奈良 匠さんは、大型書店を運営することが難しい時代だと感じています。

まわりみち文庫 奈良 匠店主
「同じ書店という立場としては、うちは1人でお店をまわしていますが、人を雇って大きい所帯で書店をやっていくというのは、やっぱり大変なんだろうなというのは同じ書店として思いましたね」

奈良さんはSNSで本の感想を載せたり、訪れた客の要望を聞いて、その本を仕入れたりするなど努力を続けていて、多くの人に書店の魅力を知ってもらいたいと話します。

まわりみち文庫 奈良 匠店主
「検索して読みたい本を探すのと、自分で本棚を見て探すのは違いはあると思う。探す楽しさもあるので、そういう楽しさは書店でしか感じられないと思うので、ぜひどんどん(書店に)足を運んでほしいなと思います」

経済産業省は4月、書店への支援策を検討するプロジェクトチームを立ち上げましたが、県内の書店は次々と姿を消しているのが現状です。

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