学校から地域へ。中学校の部活動を取り巻く環境が大きく変わってきています。

・兵庫・神戸市 福本靖 教育長
「このままでは(部活動の)持続が難しいなと思ったことが原因」

 兵庫県神戸市は2026年度から、すべての公立中学校の部活動を平日・休日ともに終了し、地域のスポーツ団体などによるクラブ活動に移行することを決めました。

・神戸市の高校1年生
「部活を楽しみに学校に行っていたので、ちょっと学校で部活ができないとなると活動するハードルが上がるかも」

 一方、道内では、すでに部活動の地域移行が進んでいるところも…。

・登別市文化・スポーツ振興財団 事務局 中平將さん
「子どもたちからも『非常によかった』『楽しい』『もっともっとやってほしい』という声はもらっている」

学校から、地域のクラブ活動へ…変わる中学校の部活動を、もうひとホリします。

国は2023年度から、公立中学校の休日の部活動を段階的に地域のクラブチームなどに移行する取り組みを進めていて、中体連主催の大会への出場も認めています。

・兵庫・神戸市 福本靖 教育長
「運動に限らず、文化的な行事もそうだが、子どもたちが自分のライフスタイルに合わせて選んで取り組んでいく」

背景にあるのは、少子化と教員への負担です。2013年約13万4,000人いた道内の公立中学校の生徒数は、この10年で約1万9,000人少なくなり、減少の一途をたどっています。

 中学校の部活動を取り巻く環境に道民は…。

・英語部 高校1年生
「先生の負担が減るのはうれしいと思う。でも先生から教えてもらうのも(部活動の)1つの魅力だったので悲しい」

・サッカー部 中学2年生
「ほかのクラスとの人とも一緒にしゃべれたり、楽しいことばかりじゃないけど、やっぱり必要不可欠なものなのかなと思うところはある」

・元陸上部 40代女性
「(部活に期待することは?)社会に出るまでの人どうしの関係の作り方とか学んでもらえればと」

みなさん、生徒どうしや先生とのコミュニケーションのためにも、部活動の必要性を感じているようでした。

一方で、道内では「部活動の地域移行」を、すでに始めている自治体も…。登別市の中学校での様子です。

 一見、部活動のように見えますが、新たに設立された「登別市地域クラブ」のサッカーチームの活動です。

・登別市文化・スポーツ振興財団 事務局 中平將さん
「学校に部活がない子どもたちもこうやって参加できて、学校が別だったので敵どうしだったのが、いまは仲間どうしとなって、新たにコミュニティーを作って、そこで世界が広がっている形なので非常にいいかなと思う」

 登別市にある5つの中学校では、2023年、野球部とサッカー部を地域クラブへ完全移行。サッカーチームは、約40人が参加し、クラブチームとして中体連主催の大会にも出場をしています。

 ・登別市地域クラブ サッカーチーム 佐藤飛優人(ひゆと)キャプテン
「人数が少なくてサッカーできなかった人たちもサッカーできるようになっていいなと。チームの目標が全国ベスト8なので、そこへ向けてみんなで頑張っています」

運営費は、会費と市の補助金などで賄われ、指導員は希望した中学校の先生や競技経験者らが、時給が出る「有償ボランティア」として担当しています。

・登別地域クラブ サッカーチーム 小田皓一朗教諭
「スタッフも5人ぐらいて、僕が家庭の事情で行けないときはお願いできるので、そういう面では働きやすいというか、自分の用事を優先することもできるようになった」

登別市は、2025年度末までに文化系も含め、すべての部活動の地域移行を目指しています。

・登別市文化・スポーツ振興財団 事務局 中平將さん
「どうしても人数が少ないと、同じ中学校でチームを組めなかったりするけども、それが一堂に会すことにより解消される部分は、すごく地域化していいと思っている」

また、登別以外の自治体でも部活動の地域移行が始まっているところがあります。

 事例を2つ紹介します。

1つは胆振の安平町の中学校です。複数の少年団で設立したNPO法人「アビースポーツクラブ」が受け皿となり、陸上、野球、バレーボールなど、13ある部活動のうち8つの部活動が地域移行を終えています。

残る部活動については、生徒の意見を聴いたうえで順次、地域クラブへの移行をめざすということです。

2つ目は、十勝の中札内村です。中学校の剣道部がもともとあった地域の少年団と連携をして、2023年に地域クラブに移行したとのことです。2024年からは大会にも出場しているとのことです。

北海道の教育委員会によりますと、8月時点で道内84の市町村で、一部の部活動が既に休日の地域クラブ活動に移行しているとのことです。

現場の先生方はどのように感じているのか。勤務に対する実態調査(北教組 9月)では、以下のような意見が上がっていました。

 ◆部活動に関する教員の意見
「専門ではない部活動を担うことが負担」
「(負担感の強い業務は)部活動指導のあとの担任業務」
「(部活動の地域移行について)道が音頭をとって進めないと小さい自治体は動けない」

時代に合わせて進む部活動の地域移行。地域で協力して、子どもたちの経験の場を作ることが求められています。

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