「誰にでもできることではない」。行方不明届が出されていた高齢女性を保護し、家族が待つ自宅まで車で送り届けた女性に広島県警から感謝状が贈られました。
感謝状が贈られたのは、広島市に住む会社員の前原里帆さん(31)です。
11月21日の午後、前原さんは広島市東区二葉の里の自身が勤める会社で、事務作業をしていました。
午後8時すぎ、前原さんがオフィスの外に出たとき、突然「ここはどこですか?」と面識のない高齢女性から声を掛けられました。
「ここは東区ですよ」と返すと、女性は不安げな様子で「バスで帰ろうと思うが、足が痛い」と話していたと言います。
前原さんによりますと、このとき女性はパニックに陥っていたような感じで、現在地を伝えても、家族の電話番号を聞いてもピンときていない様子であったということです。
なんとか女性から聞き出した大まかな自宅の場所は広島市安佐南区北部の住宅街、会社から約15kmも離れた場所でした。
「私が送り届けるしかない」と考えた前原さんは、社用車に女性を乗せ、安佐南区に向かって走り出しました。
前原さんが「この駅は分かりますか?」「どっちに向かえばいいですか?」などと女性に確認しながら車を走らせていると、民家の前にパトカーが停まっているのが見えたということです。
「あそこかもしれない」と民家に向かうと、そこには人だかりが。
集まっていたのは女性の家族や近所の人たちでした。
そこで車から女性を降ろすと、そこにいた人々は驚いた様子で、女性の娘はその場で泣き出したといいます。
前原さんが送り届けた女性は、家族からの行方不明届を受理した警察が捜索中の高齢女性でした。
女性は「親戚に会う為の準備をする」と朝から買い物に行ったところで道に迷い、「10時間以上も歩き続けていた」と話していたということです。
当時の状況を前原さんは「放っておけなかった。時間が遅かったので『私が行かなければ誰が行くんだろう』という思いしか無かった」と振り返りました。
安佐南警察署の門田圭吾署長は、「誰にでもできることではない」と前原さんの勇気ある行動を称え、「もし目の前に困っている人がいたら、その人と一緒に警察官に相談するなど、積極的に力になってあげてほしい」と話していました。
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