「なんで私なんだろう…」。パリ五輪にも出場した女子100mH、福部真子選手を突然襲った病魔。診断されたのは病名は「菊池病」。原因不明で特効薬もない。トップアスリートを襲った「菊池病」とは、どのような病気なのでしょうか。
福部真子 選手
「いつになったら普通の生活ができるんだろうとか、この先どうしようかなとか、お先真っ暗でしたね」
シーズンを終えた10月のある日、突然の首の激痛に襲われました。
福部真子 選手
「1番最初は、10月15日に朝起きたとき、左の鎖骨のちょっと上辺りに激痛が走って。枕が当たるのも痛いし…」
血液検査は「異常なし」しかし発熱を繰り返し…
突然の痛みが走ったのは、シーズンを終えて、ウエイトトレーニングをした翌日の朝でした。
かかりつけの呼吸器内科で受けた血液検査では「異常なし」。処方された鎮痛剤と抗生物質を服用しましたが、痛みはなかなか消えなかったといいます。
それから数週間、発熱を繰り返しました。別の病院で精密検査をした結果は「組織球性壊死性リンパ節炎」。いわゆる「菊池病」と診断されました。
福部真子 選手
「全く聞いたことがなかったので、なんだその病気はと思って。病名がわかったので、これで私解放されると思ったんですよ。でも、お医者さんに聞いたら特効薬がない病気で、原因不明なんだよねって言われて、えーって感じでしたね」
治療は対処療法のみ 20~30代の女性の患者が多く
これまで、複数の菊池病の症例を診てきた広島市立北部医療センター安佐市民病院の原田医師は、症状をやわらげる治療しかできないと話します。
広島市立北部医療センター安佐市民病院 原田和歌子 医師
「治療は基本的には対症療法なんです。最終的にどうしても下がらないという場合にはステロイドというお薬を使うことがありますが、もともと原因が不明なので…」
また、「菊池病」の患者は20代から30代の女性が多いといいます。
原田和歌子 医師
「若い女性、大体20代から30代が最も多いんですけど、熱が出てリンパ節が腫れて、なかなか熱が1~2週間下がらないといった病気になります」
通常、リンパ節は5mm~1cmですが、菊池病は1~2cmほどに腫れ、10個くらいの数珠状になるのが典型的、見た目でわかるほどの大きさではないといいます。
SNSで「菊池病」を公表 反響に救われ
特効薬もなく、原因不明の菊池病。診断されたときの心境について
福部真子 選手
「そのとき、1週間くらい39℃超えの熱が続いていたので、気持ちが滅入っていて、トレーニングを開始すればするほど、できなくなっていることの現実を受け入れて飲み込んで、前を向くっていう作業がしんどすぎて、情緒が不安定です」
体力的にも精神的にもつらい日々を過ごす中、福部選手は、12月3日に自身が菊池病であることをSNSで公表しました。
福部真子 選手
「私も菊池病と診断されてから調べても出てこないんですよね、詳しいことが。私もインスタで調べて体験談にすごく救われて。アスリートで菊池病の人っていなかったんですよ、体験談を見てても。もし私が公表することによって、スポーツをしている人の役に立てればいいなと思ったし、公表しようと思いました」
想像以上の反響に驚いたそうです。
福部真子 選手
「公表してくれてありがとうございました、っていうメッセージがすごく多かったので、私の方が救われたというか、いろんな人の体験談を聞くことができて勉強になりました」
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