北九州の中学生殺傷事件で、きょう現場の近くに住む男が逮捕されました。容疑を認めているという43歳の無職の男、どんな人物なのでしょうか。

■逮捕の男(43)「確かにその行為を私はしました」と供述

上村彩子キャスター:
12月14日に中学生2人が殺傷された事件、きょう動きがありました。殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、北九州市小倉南区の無職・平原政徳容疑者(43)です。

この事件では中学生の男子生徒が腰を刺されるなど、深い傷を負いました。平原容疑者は「確かにその行為を私はしました」と供述し、容疑を認めているということです。

腹部を刺され失血死で亡くなった中島咲彩さんについて、警察は「間違いなく関与している」として、再逮捕も視野に捜査を進めているということです。

■防犯カメラ少ない場合、どう捜査?ドラレコ提供も決め手に 

今回、事件現場の周辺は住宅街ということもあり防犯カメラが少なかったことから、警察は市民にドライブレコーダーの映像提供を求めていました。

逮捕の決め手となったのは、事件発生時のドライブレコーダー数十台と周辺の防犯カメラ100台以上の映像だということです。

ホラン千秋キャスター:
防犯カメラなどが少ないのではないかといわれていた中でも、逮捕のきっかけとなったのは、ドライブレコーダーや防犯カメラだったようですね。

元埼玉県警捜査一課 佐々木成三さん:
事件に関する付近の住民の関心の高さや、「犯人を許さない」といった気持ちがドライブレコーダーの提供に繋がり、それを警察が粘り強く解析を行った結果だと思います。

井上貴博キャスター:
場所がわかっている防犯カメラを警察が押さえるというのは理解できるのですが、ドライブレコーダーは、その時間にどの車が通っていたかというのは分からないのではないでしょうか。提供のお願いだけをするのか、それとも警察から何かアクションして収集するのか、どうなのでしょうか。

元埼玉県警捜査一課 佐々木さん:
今回、ドライブレコーダーの提供を求めていたので、(周辺)住民からドライブレコーダーの提供が始まると、そのドライブレコーダーに写っていた車のナンバーなどが分かり、その車にも提供依頼をできるようになっていきます。こうした体制が整ったのだと思います。

実際、ドライブレコーダーの数の中で、容疑者の車のナンバーが特定されるなど、いろいろな結果が出たのだろうと思います。

会見で「住民の協力があった」と言うこと自体、私も初めて聞きましたので、住民の協力がかなり大きかったのでしょう。

■「葛藤があったはず」特徴“黄色いサンダル”公表

ホラン千秋キャスター:
地元の皆さんの感度が高く、「もしかしたらこの場所を通っているかもしれない」と積極的に情報提供をしたことが、有力な手がかりになったのかもしれませんね。

歴史・時代小説家 今村翔吾さん:
そうしたことが短期間での逮捕に至ったのだとすると、ここ数年で皆さんがドライブレコーダーを付けるようになったと思いますが、そういう意味でも無駄ではなかった、こういう効果をもたらすのだなと改めて感じました。

ホランキャスター:
公開手配をしなかったのは、早い段階で目星が付いていたからとみて良いのでしょうか。

元埼玉県警捜査一課 佐々木さん:
容疑者の浮上は早かったのだろうと思います。

一部報道にもありましたが、今回、容疑者の顔が防犯カメラに写っていなかったという情報がある中で、容疑者の服装を公開することは、公判維持にもデメリットになるのではないかなど、さまざまな葛藤があったはずです。

その上で、注意喚起のためにも“黄色いサンダル”という特徴を広く公表したのではないでしょうか。

■警察「2人を追い回すような素振りはなかった」 明らかになってきた足取り

上村キャスター:
そして、容疑者の足取りも少しずつ明らかになってきました。

容疑者の自宅は、現場から約900メートル離れた場所にあり、車で約5分の距離だということです。

14日午後8時10分ごろ、中島さんと男子中学生が入店。そのほぼ同じ時間帯に平原容疑者も車で駐車場に到着。警察によると、2人を追い回すような素振りはなかったということです。

平原容疑者はすぐには入店せず、中学生の2人が入店してから十数分後の午後8時25分ごろに入店し、事件が発生。その後、平原容疑者は車で現場を去ったということです。

■容疑者との“トラブルなし” 犯行動機は?

今後の捜査のポイントは、犯人の動機です。

中島咲彩さんのスマートフォンの解析から、トラブルは確認されておらず、男子中学生も「全く知らない人に刺された」としています。平原容疑者とのトラブルは確認されていません。

警察は被害者2人と平原容疑者の関係性について確認中です。

なぜ2人を狙ったのかといった動機について、今後、どのように捜査を行っていくのでしょうか。

元埼玉県警捜査一課 佐々木さん:
容疑者と被害者の関係性がないのであれば、容疑者と事件現場となった店舗の関係性を捜査し、捜索差押などから間接証拠が出る可能性があります。ただ、動機については、取り調べが中心になるかと思います。

被害者や遺族のためにも、実態解明は警察の使命だと思いますので、ぜひ力を入れていただきたいと思います。

井上キャスター:
佐々木さんはこれまで、容疑者は刺すということのみ、計画的だったのではないかとも分析していました。過去の無差別殺傷事件では、その場で確保されるケースも多くあったと思いますが、今回は逃げてます。どういう目的があったのでしょうか。

元埼玉県警捜査一課 佐々木さん:
今回の事件・容疑者においては、事件を起こせば“完了”でそれ以上のことは全く考えてないと思うので、通常通りの生活に戻るような感覚だったのではないでしょうか。

実際、ここに計画があれば、車を使ってその場から逃げるということ自体、考えられません。容疑者の精神状態や、これまでどのような生活を送っていたのかなどから容疑者の特徴を明らかにしなければいけないと思います。

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<プロフィール>
佐々木成三さん
埼玉県警本部捜査第一課に10年間在籍
現役時代はサイバー捜査の導入に着手

今村翔吾さん
「塞王の楯」で第166回直木賞受賞
歴史・時代小説家30歳までダンス講師

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