女性客に売掛金という借金を背負わせ、売春などをさせる悪質ホストクラブの問題を受け、きょう、警察庁は規制の強化を求める最終報告書を取りまとめました。売掛金をめぐってトラブルになり、従業員からの暴行などに苦しめられた女性を取材しました。
殴られて腫れ上がった口元。こちらは太ももをエアガンで撃たれ、内出血しています。すべて、東京・歌舞伎町にある「ボーイズバー」の男性従業員から女性が受けたとされる暴行の痕です。
トラブルの原因は、飲食代の請求を従業員が立て替える「売掛金」です。
東京都内に住む20代の女性。3年前、「ボーイズバー」に通い始めたといいます。
売掛金めぐり“暴行”被害 20代女性
「めっちゃ好きで、お金使うのも楽しくて行ってました。ショートコールみたいな安いやつは5万円くらいからで、ちょっと大きなコールだと30万円から。もう全くホストと一緒」
男性に会いたい気持ちから通う頻度も増え、多い月では支払いが70万円に上ることも。女性は風俗店で働き始めましたが、返済できない売掛金が増えていきました。
売掛金めぐり“暴行”被害 20代女性
「(支払い金額は)3年間で計算しても1000万円近くはいってる。働いても働いても、お金をその日のうちに全部回収されてしまう。(男性従業員から)『俺の家に来て、俺の家から出勤しろ』と言われて。『その方が管理できるから』と。売掛を返さないといけないから、一緒に居続けたら情みたいな、依存みたいなのが生まれてしまって、離れられなかった」
男性からの取り立ては激しさを増し、拒否すると暴力を振るわれるようになったといいます。
その時の音声が残されています。
男性従業員
「だから、うざいんだよ」
女性
「やめてよ」
男性従業員
「ふざけんじゃねえよ」
女性
「やめてよ。痛い、やめて。ごめんなさい」
さらに、アダルトビデオの出演などを強要するようなやりとりも。
男性従業員
「(AV)やりたくないって、もう後戻りできないから。だからお前、もう家に帰さないから。稼げりゃ何でもいいよ、パパ活とか」
女性
「家から出て行ったら殺すの?」
男性従業員
「いまの状況だったら殺しはしないけど、探せなかったら探偵雇って、居場所突き止めて、うん。ボッコボッコ」
最終的に、女性は「アダルトビデオに出演することを強要された」などと警察に相談。弁護士を通じて男性側と話し合いを行い、2人は今後、会わないことを約束しました。
売掛金めぐり“暴行”被害 20代女性
「(ホストと)仲良くなっても意味ないし、その場の関係だけで男の人にお金使っても、いずれはなくなる関係。恋人でもない」
売掛金をめぐっては、女性客たちが返済のため、風俗店で働くことを強要されたり、売春を迫られたりするケースが問題に。
歌舞伎町の一部のホストクラブでは、今年4月から売掛金を全廃するルールを設けていますが、女性たちを支援する団体は「一部で悪質な営業が続いている」と指摘します。
一般社団法人 青母連 田中芳秀 事務局長
「いまだに売掛があって、相談の件数は増えています。売掛のやり方を変えて、『立替』『前入』といってホストクラブはお金を払っています。変わった部分は…ない。より悪くなってると思います」
こうした中、きょう、警察庁は法改正に向けた最終報告書をとりまとめました。恋愛感情に乗じた女性客への高額請求を規制し、不当な売掛金の取り立てに刑事罰を検討することなどが盛り込まれています。
警察庁はこの報告書を踏まえ、風営法の改正案を来年の通常国会に提出する方針です。
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