富山湾の冬の味覚を代表する「寒ブリ」。富山県の氷見漁港では今シーズン、12年ぶりに1日3000本を超える水揚げを記録するなど豊漁が続いています。豊漁の背景には約5年前に起きたあるブームが関係していました。

富山湾の冬の王者「寒ブリ」。氷見漁協や仲買人などでつくる判定委員会が安定したブリの出荷の目途がたった時に出す「ひみ寒ぶり宣言」はことし、11月20日に発表され、昨シーズンよりも1か月ほど早い宣言となりました。

仲買人
「地震の影響とかあるかなっていう心配はあったんですけど、やっぱりそういう影響がなかったのでよかったと思います」

寒ブリ宣言初日は氷見漁港に重さ約7キロ~15キロのブリ723本がずらりと並び好調な出だしとなっていました。

氷見市によりますと、宣言5日後には3681本が水揚げされ、12年ぶりに3000本超。17日までに水揚げされたブリは3万5300本にのぼり、豊漁が続いています。

価格は去年のおよそ半額に

12月10日、氷見番屋街の鮮魚店にはことしも寒ブリを求めに県外から多くの観光客が訪れていました。

ばんや鮮魚直売所によりますと、10キロのブリは例年1本約5万円ほどですが、ことしは豊漁の影響で4万円弱のものもあり、休日には10本を超えるブリが完売することもあると言います。

ばんや鮮魚 直売所 南美也子さん
「ことしは地震もあったしね、お客様も徐々に戻っておられるし、どんどんとれてくれればそれを期待してます」
石川県から訪れた人
「佐渡の寒ブリとかも有名だけど、むこうで食べるのとこっちで食べるのまたちょっと違うんですよ。歯ごたえがやっぱりぜんぜん違いますね」

この日は10キロを超えるブリを求め大阪から寿司店の店主も訪れていました。

大阪の寿司店の店主
「ことしはたくさんとれているみたいで安い。脂がのってて美味しそうなんでね。厚切りで提供します」

さらに、地元客向けの店では破格でブリが販売されていました。

浜井フードセンターではブリ1本当たりの価格が去年のおよそ半額に、切り身も3割引きで売られるなどかなりお買い得になっています。

浜井フードセンター 浜井祐雄さん
「値段の戦いだから少しでも安くって思って。やっぱり氷見のブリがよかったのとかこの前あこに行ってよかったって言って、友達にあげたら喜んでくれたから、また買いにきたとかそういう声がほしいからね」

ブリの豊漁が続いている背景について専門家は――

水産資源研究所 倉島陽 主任研究員
「4、5年前に子どもがたくさん生まれて、そこで生まれた子たちが生き残り、それが日本海に偏っていることで豊漁に繋がったのではないか」

回遊魚であるブリは生まれてから成魚になるまでは4年以上かかると言われていて、現在氷見漁港で水揚げされているブリはその大きさから4、5年前に生まれた成魚とみられるということです。

当時、なぜブリが大量に生まれたかは判明していませんが、「ブリのベビーブーム」が今の豊漁に繋がっているとみています。

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