沖縄のこの1年を振り返るシリーズ「回顧2024」。今回は「基地問題」について。沖縄は今年1年、政府が進める安全保障政策のもとで、“異例” ともいえる基地問題の噴出が相次いだ年でした。
「ゴルフ場跡地を訓練場に」降って湧いた新たな基地計画
▽沖縄防衛局・森広芳光企画部長
「既存の訓練場のみで当該所要に対応するのは困難な状況であるというのが、我々の今の認識でございます」
1月ー
防衛省の予算計上で突如発覚した、うるま市石川のゴルフ場跡地への陸上自衛隊訓練場整備計画。
地元への説明なく、教育施設や住宅地に隣接した場所で進む計画に、住民らを中心に超党派で反対の声があがり全県的に広がりました。
▽木原稔 防衛大臣(当時)
「うるま市における訓練場の整備計画を取りやめる」
地元の声を受け、政府の防衛計画としては “異例” ともいえる計画撤回を余儀なくされました。
前例のない「代執行」 辺野古・大浦湾での工事に着手
一方、民意を顧みずに進められているのが普天間基地の辺野古への移設です。普天間基地の辺野古への移設をめぐり、政府は去年末に行った代執行に基づき大浦湾の工事のための作業に着手。
▽玉城知事
「畳みかけるように工事を進めることで諦め感を醸しだそうという考えであれば、それは大きな間違いだと言わざるを得ない。たとえ事務的な手続きは進んでも、多くの県民は辺野古の新基地建設に反対だという民意を明確に示しています」
その後も工事は加速し、今月、地盤改良のための船が沖縄に到着。防衛省は、年内にも大浦湾で地盤改良のための作業に着手し工事を進める見通しです。
“例外” が常態化したパラシュート降下訓練
そして今年、県や地元自治体が幾度となく抗議するなか繰り返されたのが、パラシュート降下訓練。米軍のパラシュート降下訓練は原則伊江島で実施されることが日米で合意されていますが、今年は嘉手納基地で、9回にわたり実施されています。
日米の合意を反故にするような訓練に対しては、過去には日本政府も強く反発していました。
▽小野寺防衛大臣(2017年)
「このような形で訓練が行われたことに関しては遺憾に思っています」
しかし今ではー
▽木原防衛大臣(2024年)
「今回の訓練は “例外的な場合” に該当すると私は認識をしております」
政府は現在、アメリカ軍の説明に基づき伊江島補助飛行場の滑走路が使用できないための「例外」として嘉手納基地での訓練を容認しています。
国境の島で同盟アピール “異例” の大使来島
5月ー
米国のエマニュエル駐日大使が先島を訪問しました。
▽エマニュエル駐日米国大使
「日米が戦略的に整合性を取ることができれば抑止力を強化することができる」
その後も米 軍と自衛隊の幹部が与那国駐屯地で会見するなど、国境に近い島は日米の同盟強化を隣国にアピールする「場」として使用されました。
▽吉田圭秀 統合幕僚長
「我々の勢力を島に展開をするということに加えて、住民の皆さんの避難も行うというようなオペレーションを考えたときに、民間空港・港湾の使用というのはもう必要不可欠だと思っています」
日米の連携強化に伴いことし目立ったのが、米軍と自衛隊による民間施設の利用です。県が緊急時以外の民間施設の使用自粛を求めるなか、石垣空港で米軍のロケットシステムの輸送が行われるなど、県内の複数の民間施設で様々な訓練が実施されました。
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