自民党の派閥の裏金事件に関わった議員に対する衆議院の政治倫理審査会に田畑裕明議員が出席しました。野党は裏金事件だけでなく、政治資金パーティーの問題や党員の無断・架空登録問題も追及。田畑議員に対し「疑惑のオンパレード」だと述べ議員辞職を求めました。
17日から始まった衆議院の政治倫理審査会は自民党派閥の裏金問題に関わった議員15人が公開の場で弁明するもので、2日目の18日は自民党・田畑裕明議員が出席しました。
田畑裕明 議員
「国民の皆様方に多大なる迷惑、憤り、そうしたことをおかけしたこと、政治不信を招く結果となり心から深くお詫び申し上げます。私自身もじくじたる思いではありますが、結果をしっかり受け止め、信頼回復に向けて誠心誠意努めてまいりたい」
田畑議員はことし1月、旧安倍派が政治資金パーティー券の販売収入の一部を所属議員側にキックバックしていた問題で、収支報告書への不記載が発覚。不記載額は2021年までの4年間で68万円にのぼりました。
当時の取材に対し田畑議員は、不記載の68万円は事務所で管理していたため使用しておらず「違法性の認識はなかった」と答えていました。
18日の政倫審ではキックバックについて田畑議員は――
田畑裕明 議員
「私自身会計責任者らを全面的に信頼しており、適正に収支報告されているものと信じきっておりました。私自身の監督が行き届かなかったことは事実であり、深い反省のうえ、誠に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいであります。収支報告書に記載していなかったことについて大変ずさんでありますが認識していなかった」
キックバックについてはあくまで派閥の事務局から秘書に対し「収支報告書に記載しなくていい」と指示があり、その指示に従っていたと弁明しました。
「国会をばかにしているのか」
その後行われた質疑では、立憲民主党の中谷一馬議員が2018年の24万円分の不記載に関する資料が提出されていないと指摘しました。
立憲民主党 中谷一馬 議員
「弁明された通り68万円が正確な額じゃないかと思うんですけども、資料をなぜ44万円で出してこられたんでしょうか?」
田畑裕明 議員
「今手元に持ってございませんが、誤提出というか、誤った提出ということで先ほど申しましたことが真実でございます。失礼いたしました」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「国会をばかにしているのかなと思って、私は非常に不快な思いを致しましたので付言をさせていただきます」
また、中谷議員は田畑議員が政治資金パーティーの案内状に設けた「ご入金のみ」の記載が、専門家から違法な寄付の呼びかけに当たると指摘を受けた問題について質問しました。
今年6月に予定されていたパーティーは中止となりましたが、パーティー券を購入した知人から返金がされていないとの連絡があったことについて質しました。
立憲民主党 中谷一馬 議員
「半年間も返金がされていない状況は、説明と現状内容があまりにも食い違っているのではないかと思います」
田畑裕明 議員
「ご指摘をまず受け止めさせていただきたい。1つ1つ返金の手続きをしているというふうには私も事務所の秘書と一緒にやり、確認をしていたところだが、今当該の方にまだ戻っていないというのであれば、急ぎ確認をしたい。今答えられるのはそういう状況」
党員の無断・架空登録問題も追及
さらに、中谷議員は田畑議員の党員の無断・架空登録問題についても追及しました。
田畑議員をめぐっては、ことし10月2日に支援者と交わした電話の音声データから支援者が勤める企業の従業員名簿をもとに、田畑議員が本人に無断で自民党員に登録し、支援企業から集めた「献金」を党費の支払いに充てていた疑惑が浮上しました。
11月29日の記者会見では、事務所が管理する党員701人のうち無断または架空登録が262人あったことを認め、党費は亡くなった親族と父親が支払っていたと主張しました。
立憲民主党 中谷一馬 議員
「チューリップテレビが入手した田畑議員が支援者に電話した時の音声データでは、幽霊党員に関する口裏合わせの依頼と企業献金の流用に関する件を明確に説明されているが、スキーム通りに党員登録をしていたならば、支出欄に党費の記載がない状況は新たな不記載であり、政治資金規正法違反の疑いもあり、自民党が必死に残そうとしている企業団体献金が不正の温床になっているのではないか」
田畑裕明 議員
「この件についても地元で説明の記者会見も行った。企業献金を党費に充てていたということはございません。私自身も発言が軽率であったわけで、外部の専門家に調査していただき、該当の担当の職員にもヒアリングをし、当事務所でそのようなオペレーションとか、資金の移動というのは全く行っていないことを確認して、会見で説明させていただいたので、不記載ということはございません」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「党費262人分は50万から100万。このような金額を肩代わりし続けるということは誰が信じるのかと、厳しい意見が報じられているが、この説明に嘘はないと国民に誓えますか?」
田畑裕明 議員
「私が会見で説明した通りでございます」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「音声データでは対外的には、おじが党費の肩代わりをしたことにしようと話していますが、まさにその筋書きの通りの説明をしている田畑議員の主張に極めて疑念を持っていますが、何か主張を裏付けられるような証拠や根拠はありますか?」
田畑裕明 議員
「口裏合わせだと思われるような言動をとったことにつきましては誠に申し訳なく、不信感を与えたことについては説明をさせていただいたところでございます。しっかり信頼回復のために職務にまい進させていただきたい」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「チューリップテレビの毛田千代丸キャスターからも根拠があるのかと問われた際に、根拠はない旨を述べられていましたが、親族の方は、すで亡くなっておられるので、真偽の確かめようがなく、『死人に口なし』状態です。音声データを公開した支援者の方も『結局は自分を守ろうとするのに必死なんだろうなっていうのを感じましたよね。まあほとんど嘘をつくっていうか、真実を語れないんだな』『県民と国民の代表として出てる政治家が、そんなことをよく言えたもんだな』と述べていますが、田畑議員はこんな説明をしていて恥ずかしくないんですか?国民の代弁者である議員が、口裏合わせを依頼したり、説明責任を果たすことをしないまま、今の職にしがみつくことを貴方は恥ずかしいと思いませんか」
田畑裕明 議員
「これまでもしっかり説明を尽くして参ったところでございます。しっかり職務にまい進したい」
"疑惑のオンパレード"が続く状態
自民党県連は田畑議員の党員問題を巡る処遇について県連から党本部への申請がない限り、衆院選の公認候補となる第一選挙区支部の支部長を選任しないことに決定しています。
立憲民主党の中谷議員は議員生命に関わる決定についても田畑議員の見解を質しました。
立憲民主党 中谷一馬 議員
「今後、支部長の選任を自らが目指す考えでありますか?」
田畑裕明 議員
「今般の富山県連の判断につきまして、私がこの場でコメントできる立場ではないと思っております」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「それは目指されないということですか?」
田畑裕明 議員
「この場ではそのことについてコメントは控えさせていただきたい」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「富山県連の対応もそうですが、田畑議員の認識も対応も極めて甘い、甘すぎると思います。田畑議員自身ですね。統一教会の問題から始まり、裏金の問題、幽霊党員の問題、また先ほど指摘させていただいたパーティー券の偽装購入疑惑。疑惑疑惑のオンパレードが続いている状態に対して信頼回復を目指して選挙戦を戦われたと私も記事を拝読させていただきました。その中でも富山の皆さんががっかりされている方が多いと思いますし、国民を馬鹿にしているのではないかと率直に思いました。その中で田畑議員、ここまで疑惑が出ているわけですから、議員辞職して一から出直す、そういう考えはありませんか?」
田畑裕明 議員
「先ほどからも申し上げてございますが、深い反省のもとにたち信頼回復のために今の職務を全力で尽くしてまいりたい」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「職務を果たしていただくためにですね。説明責任を果たしていただきたいと思うんですけども、どの親族が年間いくらずつ負担をしていたのか?不適切な党員登録は党費の総額はいくらだったのか?」
田畑裕明 議員
「きょうは還付金のことについての場ということだったので、初めて通告されておりますので、お答えにかなうことができないことでご理解いただきたい」
立憲民主党 中谷一馬 議員
「このあと還付金の話に戻らせていただきます。今の件はのちほど審査会に示していただけますか?」
田畑裕明 議員
「会長のご判断に従いたいと思います」
無断または架空の党員登録問題について初めて国会で追及を受けた田畑議員。
富山県内の報道機関は会見を開くよう要請していますが応じていません。
報道陣からの「不適切な党員登録問題について会見を開かれる予定はありますか」「富山県の記者クラブで要請していますが説明責任を果されていると思いますか」という呼びかけには応じませんでした。
田畑議員への質問を終えて、立憲民主党の中谷議員は――
立憲民主党 中谷一馬 議員
「説明責任を果たすどころか、自分が悪くないということはペラペラとお話をされるんですけども、肝心要なことはですね全く答えず、またご自身が悪くないとおっしゃっていることに関する根拠も全く示されない、そういった状況でありました。普通に質疑を聞いていればですね、『息を吐くように嘘をつく』というような疑念を持たれても仕方がないんじゃないか。物証・根拠が今後出てこなければ国民に対して自分の発言1つ1つの重みというものを、国会議員として自覚をされていないんだと思いますので、県民の皆様、国民の皆様から厳しい審判を受けることになると思います」
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