能登半島地震により石川県輪島市では建物の解体が進むとともに、住民たちが大切にしていた輪島塗の食器などが廃棄されようとしています。

こうした状況を受け、地元の漆器工房が今、捨てられようとしている輪島塗を再生させる取り組みを進めています。

輪島キリモト・桐本泰一代表「眠っていた物を“レスキュー”して、“リボーン”した物がこれです」

輪島市で200年以上に渡り木と漆にこだわり製作を続けてきた「輪島キリモト」の七代目・桐本泰一さん。能登各地で地震の被害を受けた住宅の解体が進む中、住民たちが大切にしていた輪島塗の器などが捨てられている現状に心を痛めています。

輪島キリモト・桐本泰一代表「胸が張り裂けるような、かきむしられるような。ぐちゃぐちゃに潰れている物を見るにあたって何とも言えない、涙しかない」

長年使用後も修理が可能 特性いかして生まれ変わる輪島塗

そんな桐本さんのもとには、大切にしてきた漆器を捨てるに捨てられないと話す友人や、能登町で新たな持ち主に引き継ぐ活動を続ける「能登地震地域復興サポート」のメンバーから相談が寄せられています。

伝統産業の再生を強く願い、8月からは廃棄される予定だった数々の漆器をよみがえらせる「輪島塗レスキュー&リボーン」プロジェクトを始めました。

輪島キリモト・桐本泰一代表「蓋を開けると鉄錆塗といって、こういうちょっと渋い仕上げにお椀とお皿を仕上げて貰った」

長年使っても修理が可能な輪島塗の特性を活かして、見事な風合いに生まれ変わった椀や皿の数々。桐本さんは、この取り組みを能登が目指すべき復興の姿だといい情熱を注ぎます。

輪島キリモト・桐本泰一代表「いま能登は、輪島塗は大変なダメージを受けております。これからの能登、これからの輪島、これからの輪島塗そういったものが必ず生まれ変わる。前よりもっと良くなるそういう様な気持ちを込めたプロジェクトかなと思っております」

輪島塗の未来を示す道しるべに

桐本さんは「輪島塗は住民の心の支えであり、携わる人たちがもう一度頑張る、新しい物に生まれ変わらせることで、地域の復興に結びつけていける。そんな大切な存在」と考えています。

職人のなりわい再建はもちろん、輪島塗の未来を示す道しるべの一つとして継続したいと話していました。

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