三菱UFJ銀行で行員が貸金庫から顧客の金品などを盗んだ問題。12月16日午後に行われた三菱UFJ銀行の会見で、半沢淳一頭取が深々と頭を下げました。

 (三菱UFJ銀行 半沢淳一頭取)「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると厳粛に受け止めており、お客さまや関係者の皆さまに心よりおわびを申し上げます」

 問題が発覚したのは今年10月。三菱UFJ銀行の都内の支店に勤務していた40代の女性行員が、2020年4月から約4年半にわたり、支店の貸金庫から顧客の現金や貴金属などを盗み出していたということです。

 行員は今年11月に懲戒解雇されていますが、被害にあった人は約60人。金額は実に十数億円にのぼるといいます。さらに、他にも数十人から「被害の可能性がある」と申告があったことも明らかになりました。

 ではどうやって盗んだのか。

 (三菱UFJ銀行 半沢淳一頭取)「行為者は貸金庫の管理責任を担う立場にあり、支店で保管している予備鍵を不正に利用して、貸し金庫を無断で開け、現金等のお客様の資産を窃取しました」
 (三菱UFJ銀行 向井理人執行役員)「仕組み手続きを熟知した行為者が仕組みをすり抜けた部分がございました」

 貸金庫を開けるためには、銀行用と顧客用の2種類の鍵が必要で、銀行と顧客がそれぞれ保管しています。しかし、三菱UFJ銀行では顧客が鍵をなくした場合などに備え、支店で顧客のスペアキーを保管。スペアキーは封筒に入れ、銀行側の印鑑と利用者の印鑑の割印を押して封印しています。

 この女性行員は鍵を管理する責任者だったため、何らかの方法でスペアキーを持ち出して盗みを働いていたとみられます。

 “安全”だと信じて疑わない貸金庫からの窃盗。5年前、別の銀行で貸金庫窃盗の被害にあったという安達元一さんが、今回取材に応じました。

 (安達元一さん)「たまたま何かちょっと重要なものがなくて、貸金庫に入れたっけなと思って開けてみたら、空っぽだったんですよ」

 安達さんによりますと、貸金庫に保管していたという現金1000万円が紛失。銀行の調査が始まったといいます。そして数か月後、銀行から伝えられたのは…

 (安達元一さん)「うちの行員が盗んでいましたと。銀行に預けたお金を銀行員が盗むなんてありえないと思っていたが、世の中に100%なんてことはないんだなとよくわかりました」

 一方、どのように盗まれたのか、その手口については…

 (安達元一さん)「どういう手口でやったのか知りたかったんですけど、最後まで教えていただけなくて。もやもやしています、今でも」

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