東海地方の“モーニング文化”がピンチです。コーヒー豆の歴史的な高騰が原因なんです。インスタントコーヒーも来年には値上げされます。

コーヒー1杯410円で「トースト」「ゆで卵」も

“モーニング文化発祥の地”と言われる愛知県一宮市。創業59年の「喫茶ナポリ」。

切り盛りするのは松本靖さん(62)と正子さん(62)夫婦。いつものように16日も午前7時半に店を開け、常連客の皆さんはいつものようにモーニングサービス(ブレンドコーヒー・410円)を注文します。

モーニングタイムは午前7時半から午前11時まで。コーヒーなど飲み物1杯に「トースト」と「ゆで卵」もつけて飲み物だけの値段で提供。トッピングの小倉あんは無料サービスです。

「値上げしてまたお客さんに来てもらえるか不安」

(村上真惟記者)
「一宮市が発祥とも言われているモーニングですが、欠かせないコーヒーにも値上げの波が押し寄せています」

コーヒー豆の歴史的な値上がりで、松本さん夫婦は頭が痛いと嘆きます。

(喫茶ナポリマスター 松本靖さん)
「できるならあすにでも(値上げ)したいけれど、そうもいかないのが現状」
(妻・正子さん)
「値上げしても、お客さんにまた来てもらえるのかと不安。どうしよう」

喫茶ナポリは1年半前に豆の仕入れ値が高騰したことで、コーヒー一杯の値段を380円から410円に30円値上げしました。

(松本靖さん)
「他の具材の値上がりなどもあるので、(値段を)もっと上げたかったんですけれど…」
(正子さん)「不安。どうなっちゃうのかな」

しかし、さらなる高騰の波が押し寄せてきました。11月、ニューヨーク市場でコーヒー豆の高級品種「アラビカ種」の先物価格が、史上最高値の水準で推移。「アラビカ種」は多くの喫茶店などで提供されるコーヒーの原料ですが、ほかの種類も含め、コーヒー豆は軒並み値上がりしているのです。原因はブラジルやベトナムなど主な生産国で、気候変動の影響で不作が相次いでいるからです。

ネスレ日本やドトールコーヒーでも…

ネスレ日本でも来年2月から、順次インスタントコーヒーや菓子など、133品目の値上げや、内容の見直しをすると11月に発表。「ネスカフェ エクセラ」は内容量を減らした上で68円値上げします。

またドトールコーヒーは、12月12日から全国のショップで提供するブレンドコーヒーSサイズを、250円から280円に30円値上げ。コーヒー豆やフードメニューも値上げ対象です。

(正子さん)
「2年くらい前から業者から、値上げのお知らせ(の紙)が来て、一部取っておいた。こんなにたまってしまった。これ以上(値段が)上がらないでほしい」

「喫茶ナポリ」では、店に置く「新聞」・「雑誌」、加えて「おしぼり」も値上げの影響を受けています。さらにサービスで出す豆菓子や、小麦・油・米…提供メニューに関する何もかもが値上がりしているのです。

(正子さん)
「人を雇ってやっていくのはすごく難しい」

モーニングに欠かせないゆで卵が…

そして、モーニングに必ずつく「ゆで卵」も影響を受けています。

一宮市にある、卵の直売所「うきうき村」を訪ねました(16日午後3時過ぎ)。

こちらではブランド卵「尾張の卵」(Mサイズ10個)がことし10月、250円から280円に値上げされました。エサ代や資材の高騰が背景にあります。大事な取引先である喫茶店の経営が圧迫されていることについては。

(一宮市浮野養鶏 伊川真宣さん)
「一宮のモーニングを支えていかないといけないので、協力して頑張っていきたい」

これまで東海地方の各店が特徴あるメニューを押し出し、モーニング文化を作り上げてきた形ですが、いよいよ店の努力だけでは我慢しきれない物価高騰の波と言えそうです。

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