素材となる木綿のやさしい風合いを生かし、懐かしい昭和30年代の日常を再現した人形の展示会が岩手県奥州市衣川で開かれています。

奥州市衣川在住の高橋静枝さんは5年前から、夫の敏彦さんと人形作品を製作してきました。

題材は昭和30年代の日常風景。舞台は当時の衣川村です。
人形は静枝さんが、敏彦さんは背景を担当。
分業で作る人形作品は最初、敏彦さんが勤める福祉施設に飾られていましたが、次第に評判を呼び、作品展を開くまでになりました。

敏彦さんと静枝さんが2人で手掛けた最後の作品「あの頃に帰って」

しかし、2023年7月に敏彦さんが亡くなり、以後は周囲の人たちが背景や小物づくりに協力し、創作活動を続けています。

人形の素材は木綿を織って作ったソックス「軍足」です。

やわらかい風合いが、昭和のおだやかな日常を表現するのに相性が良く、釣りをする老夫婦や、冬にこたつでみかんを食べる老夫婦、夏のホタル狩りなどが、まるでそれぞれの声が聞こえてくるように生き生きと表現されています。

訪れた人には、昔の自分の暮らしと重ねて作品に見入る人が多いとか。

「春よ来い」

囲炉裏を囲んで作業する老夫婦を表現した作品「春よこい」の前では「昔の自分の家を見ているようだ」と涙を流す人も多いということです。

「豆腐屋」

また「豆腐屋」という作品では、「大豆を持っていくと豆腐に変えてくれた」という昭和30年代の日常風景が描かれています。

「まだかなあ」 

作者の高橋静枝さんは「『そういえばこんなことがあった』と当時を思い出し、懐かしんでいただければ」と話していました。

この展示会は20日まで、奥州市の衣川地区センターで行われています。

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