「東海道・山陽新幹線」記念すべき2024年度 50年前に何があった?

来年3月10日で、東海道・山陽新幹線は「東京-博多全通50年」を迎えます。

RSK山陽放送(1953年創業)は71年に渡る放送の歴史の中で、新幹線に関わる数多くの貴重動画を保存していて、「RSKイブニングニュース・YouTubeチャンネル」では、再生リスト「新幹線・貴重映像大集合」にてそのうち38本の動画を公開しています。

RSK山陽放送では、38回シリーズ(予定)で、その内容を画像を交えてインターネット記事として紹介していきます。

26回目は「令和の今も個室つき!ひかりレールスター登場(1999)」です。

山陽新幹線には、いまだ現役の「700系」が走っている!

皆さんは「レールスター」という新幹線車両をご存知でしょうか?「東日本に住んでいて、大阪以西にあまり行かない」という方は、ほぼほぼご存じないかも知れません。

その「レールスター」がこちらです【画像①】!

【画像①】「ひかりレールスター」があらわれた!

形式は「700系7000番台」というそうです。700系と言えば「先頭車両がカモノハシ」のあれですが、塗装が変わるとこうも印象が変わるものなのか。

グレー地に、運転席周りは黒色に塗られ、【画像①】を見れば見るほど「カモノハシ感」がビックリするくらい薄れています。デザインってすごい!

さらに東海道・山陽新幹線と言えば「白地に青」がイメージカラーですが、「レールスター」はグレー地に、これまでにはない「黄色」の帯をまといました。当時の原稿によると「山陽路をイメージしたカラー」なんだそうです【画像②】。

【画像②】山陽路をイメージした黄色のライン

ロゴも施されていて、「Rail Star」の「i」の点の部分が「★」になっているなど、なかなか洒落ています【画像③】。

その名前の由来について、調べても調べても出てこないので、京都鉄道博物館の学芸員の方に問い合わせたところ(いつも有難うございます!)「新大阪~博多駅間で走行する姿を『レール上を駆け抜ける流星のようなイメージ』になぞらえて命名されたということです。

【画像③】700系っぽさが薄く、横から見ても格好いい!

斬新なデザインの「ひかりレールスター」ですが、さらに斬新だったのが、それまでの「ひかり号」と言えば16両か12両編成だったものが、初めて8両編成になったという点です。

その8両編成の先頭車両を、当時のカメラマンはローアングルから大写しにしていました。あ、ほのかに「カモノハシ感」が滲み出ていました【画像④】。

【画像④】下から覗くとカモノハシ

24年前から至れり尽くせり!「ビジネスシート」とは?

この日(1999年12月20日)は、デビュー前の「レールスター」マスコミ向け試乗会です。「700系」デビューからわずか9カ月で、もう「700系7000番台」もデビューの準備が進んでいたんですね。

試乗会に、RSKからは当時イブニングニュースを担当していた近藤季樹キャスターがリポートをしていました。

(近藤季樹キャスター)
「『ひかりレールスター』は、新大阪と博多との間を走る0系の『ウエストひかり』に代わって走るもので、新しい設備が数多くあります」

そう、この「ひかりレールスター」は、2000年まで走っていた12両編成の「ウェストひかり」【画像⑤】に代わって走る、新大阪~博多間の速達型列車だったのです。

【画像⑤】掘り起こした「ウェストひかり」の画像 スピードアップが望まれていたのです

さぁ、「レールスター」の車内を探訪です。【画像⑥】は2×2の4列シート、でグリーン車かと思いきや。。。これが指定席なのです!京都鉄道博物館の方によると、この車両は「サルーンシート」と呼ばれているそうで、グリーン車並みの座席空間が広がっています。

これも「ウェストひかり」から続く伝統で、今でも「さくら」「みずほ」の指定席に受け継がれていて、乗ると何だか得した気分になります。

【画像⑥】これがグリーンではなく指定席!「サルーンシート」

そして、当時としては斬新だった座席も数多く用意されていました。近藤キャスターのリポートです。

(近藤季樹キャスター)
「指定席で『オフィスシート』を取りますと、大きな机、それから壁の電源コンセント、やや大きめのノートパソコンで仕事をすることさえできます」

【画像⑦】

そう、最前列シートに設けられたのは「大きなテーブル」【画像⑦】と「コンセント」です【画像⑧】。当時の新幹線としては画期的で、その後のN700系シリーズでは常設されるようになっている、はずです。

筆者も出張時には、EX予約で極力N700系のこのタイプのシートを狙って予約し、Wi-Fi環境と格闘しながら残務を片付けております。あぁ、新幹線でも仕事が出来ちゃう時代...。

【画像⑧】

そして本編とは関係ありませんが、【画像⑨】には1999年当時のウィンドウズっぽい画面が映し出されていました。何だかこのシンプルさが懐かしい【画像⑨】!

なお、当時のYahoo!トップページはどんな感じだったのか、さらに蛇足ですが去年「1996年のYahoo!トップ画面を見てみますと...」という記事を書いておりますので、興味のある方はご覧くださいませ。

【画像⑨】

(近藤季樹キャスター)
「単なる移動空間でなく、仕事をしながら、あるいはゆっくり休みながらと、乗客それぞれの要望に応えようというコンセプトで作られたということです」

そう、「ひかりレールスター」はきめの細かい配慮が至るところに散りばめられていたのです。

【画像⑩】こちらも新設!サイレンスカー

(近藤季樹キャスター)
「4号車のサイレンスカーは、寝たり読書をしたりするため、車内放送が一切ない車両です」【画像⑩】

「検札も声をかけずにできるように『切符ホルダー』が付けられ、案内は電光表示で行われます」【画像⑪】

【画像⑪】静かなだけに、寝過ごしには要注意!!

車内放送もなく、静か。広島で降りるつもりが、気付いたら博多!みたいなことにならないように、気をつけねばなりません。

一番の目玉は...令和の今でも「指定席料金で乗れる個室」!

さらに嬉しいのは「個室」が用意されていること。先日もネットニュースでピックアップされていましたが、これがグリーン料金でなく「指定席料金」で3~4人集まれば1室を利用できるのです【画像⑫】。

【画像⑫】

シートやテーブルの質感【画像⑫⑬】、さらにはオシャレなライトも備え付けられていて、これで通常の指定席料金で乗れるって素敵♡。今度家族で新大阪に行く機会があったら、あえてレールスター車両の「こだま」で行こうかしら...。

なお2024年12月現在、個室が利用できるのは「8号車を指定席利用としているレールスター車両」のみで、該当するのは「ひかり590号」と「こだま845・847・865・840・856・858・860・866号」のみなのでご注意ください。

【画像⑬】

(近藤季樹キャスター)
「8両編成のうち自由席は3両。岡山~新大阪間は48分と、これまでの『ひかり』より7分短縮されます」

「JR西日本では、『のぞみ』でなく『ひかり』にきめ細かいサービスを導入することで、乗客を増やしていきたいと話しています」

自由席料金で「2×2列シート」に座れる列車も!

なお【画像⑭】が1号車~3号車の「2列×3列」自由席車両です。

ちなみに本来4号車は指定席なのですが、2024年12月現在「こだま775・781・789・831・833・877・832・876号」は自由席となっていて、さらには「こだま773・777・779・785・770・774・780・784号」に至っては全車自由席!ゆえに自由席料金で2×2列に座ることが出来ます。サルーン!お得!

【画像⑭】

「ひかり」レールスターは今や1日1本のみの運行 停車駅がすごかった

この「ひかりレールスター」のダイヤは、2011年に九州新幹線が開業した後は、多くを「みずほ」「さくら」に譲り、今ではほぼ「こだま号」として、そして1日1本のみ新下関発岡山行きの「ひかり590号」として運用されています。

なんとこの「ひかり」は通過駅は厚狭のみで、あとは各駅停車です。めちゃくちゃレアなひかり号かもしれません。

この「レールスター」ですが、今後は「N700系8両編成化」の導入により、500系とともに徐々にダイヤから消えゆく予定です。今のうちに「レールスター」で、ゆとりのある時間にゆとりのある旅を楽しんでおきましょう。

【画像⑮】

次回、その「ひかりレールスター」がデビュー!RSKにはめちゃくちゃレアな動画も残されていました。12月21日配信予定です。

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【23回目】新幹線500系 デビュー当初は東京に乗り入れてなかった?!
【24回目】新幹線700系 初登場時の衝撃「カモノハシみた~い」
【25回目】「0系」「100系」「300系」「500系」「700系」揃い踏み

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