熊本県の旅行支援事業について公益通報した県の職員が記者会見を開き、通報後、パワハラを理由に県が懲戒処分としたことは「公益通報への報復措置だ」と反論しました。
公益通報した県職員「県が一部の特定の事業者に向けて忖度をするという現状はまったく変わっていない」
この職員は去年、コロナ禍で県が実施した旅行支援事業について公益通報していました。
一方、県の第三者委員会は今年4月、熊本市の旅行会社による不適切な助成金の受給などは「なかった」とする調査結果を公表。
県はその直後、部下へのパワハラを理由に、この通報者を減給3か月の懲戒処分にしました。
これに対し通報者はパワハラを否定し、過去の事例と比べても処分が重いのは異常だとして「公益通報への報復措置だ」と反論し、心情を訴えました。
公益通報した県職員「強い絶望感を抱き、常に死にたいと思いながら辛い人生を送っている」
また通報者は、県が事実上の降格人事を行い、仕事を与えないなどの不利益な扱いもしたとして、県の人事委員会に審査請求をしていると明らかにしました。
公益通報した県職員「自治体における公益通報のあり方についての問題提起につながれば、本県だけでなく全自治体における行政運営の進め方の改善にも寄与する部分があるのではないかという使命感を持っている」
食い違う双方の主張
きょう(13日)の記者会見を受けて木村敬知事は「現在、人事委員会で審理が進められているため、コメントは控える」とのコメントを発表しました。
糸永有希アナウンサー「双方の言い分はかなり食い違っているようですよね」
通報者は「懲戒処分は公益通報への報復措置だ」と主張していますが、県は懲戒処分を判断する段階で「処分の対象者が通報者とは知らなかった」としています。
一方で通報者は、公益通報した去年9月7日の翌日に人事課が内部調査を行い、旅行支援事業を担当する県の職員のうち、通報者だけが聞き取り調査をされなかったことなどから、「県は通報者が自分だと認識していた」と反論しています。
キャスター「一方でパワハラが事実ならば公益通報に関係なく、処分は妥当ともとらえられますよね?」
県は、通報者が部下を大声で繰り返し叱るなどし、うち一人は精神疾患を発症したとしています。
これに対して通報者は、「業務に必要な指示の範囲で、録音や医師の診断書など客観的証拠がない」「過去にパワハラについて注意や指導を受けたこともない」などとして、県の人事委員会に不服を申し立てています。
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