佐久市で2015年、男子中学生が車にはねられて死亡し、運転していた男が「ひき逃げ」の罪に問われている裁判で、最高裁判所は13日、上告審の「弁論」を開きました。

死亡した中学生の母 和田真理さん:
「娘も一緒に傍聴した。家族も一緒に思いを込めた」

両親も見守る中、最高裁判所で開かれた上告審の「弁論」では、検察、弁護側の双方が主張を述べました。

2015年3月、中学3年だった和田樹生(わだみきお)さんは、佐久市の自宅前で車にはねられ死亡しました。

道路交通法の救護義務違反=ひき逃げの罪に問われているのは、運転していた御代田町に住む52歳の元会社役員の男性です。

起訴状などによりますと男性は、樹生さんを車ではねた後、救護よりも前に飲酒を隠すためにコンビニへ行き、口臭防止剤を買っていたなどとされています。

一審の長野地裁は懲役6か月の実刑判決。

二審の東京高裁は、被告がコンビニへ行った時間は1分余りで、現場から離れた距離も50メートル程度に留まっているなどとして、逆転の無罪判決を言い渡しました。

13日の弁論で、検察側は、無罪判決は法律の解釈適用の誤りで著しく正義に反するとし、速やかに破棄すべきと主張しました。

検察側:
「被告の身勝手な行動によって、救護が遅れたことを過小評価した不合理な判決で、被害者が発見されない間に119番通報することが無意味であるかのような判断」

一方、弁護側は改めて無罪を主張しました。

弁護側:
「被告は直ちに被害者の捜索を開始した。救護義務と相容れない行動があったとしても、離れた時間や距離の程度や、その後の行動が全体的に考察されていて判決に法令違反はない」

最高裁での弁論を終えて両親は・・・。

父 善光さん:
「コンビニを退店してから現場に現れるまで3分以上くらいの時間が経っています。その時刻について何をしていたのかという質問状を裁判官を通じて被告人に渡しています」
「それに対して被告側が代理人を通じて、その答えについては差し控えさしていただくということで、なんの回答もありませんでした」
「そのような態度に被告人が事件を真摯に見つめ直して反省しているとは我々には微塵も感じられません」

母 真理さん:
「救護されれば救われる命というのはあると思います。高裁判決を破棄していただいて最高裁で判決を出していただきたい」
「できれば反省のない被告人に対しては懲役刑、実刑判決をお願いしたい」

最高裁への上告で「弁論」が開かれるのはごくわずかで、二審の無罪判決が破棄される可能性があります。

判決の日程は今後、決まるということです。

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