政治資金規正法の再改正で焦点となっている「企業・団体献金」をめぐり、30年前、「平成の政治改革」をまとめた細川元総理がJNNのインタビューに応じました。いまの政治改革の議論をどうみているのでしょうか。

「決めた通りにやってください」“30年前の約束”どうなった

細川護煕 元総理(86)
「もう30年経ったんだから、もう早く、そのとき決めた通りにやってください」

1993年、政治改革を旗印に、非自民8党派による連立政権が誕生。総理大臣に就任しました。

細川護煕 総理(1993年8月当時)
「本年中に政治改革を断行することを、私の内閣の最初のそして最優先の課題」

1988年のリクルート事件、1992年の東京佐川急便事件は自民党政権を揺るがし、企業献金によって政策が歪められる懸念は「平成の政治改革」へとつながりました。

自民党 河野洋平 総裁(1994年1月当時)
「2人で合意書に署名をさせていただきたいと思います」

税金を原資とする政党交付金を導入し、政治家に対する「企業・団体献金」は禁止されましたが、政党や政党支部に対する献金は「5年後に見直す」ことになりました。

この約束はどうなったのか。

石破茂 総理(12月10日)
「あのとき(30年前)に公的助成を入れるから企業・団体献金廃止だというような、それがコンセンサスだったと、私は全く記憶をいたしておりません」

「見直し」と書かれているだけで、廃止の方向となった事実はないと主張しています。

「当時もっと声を上げるべきだった」と後悔を口に

細川護煕 元総理
「石破総理のお話はマルかバツかと言われたら、バツだと思います。誰が考えてもそれは二重取りになるわけですから、企業献金が正当化されるような石破総理の言いぶりっていうものには、やっぱりちょっと私は大いに気になりますね」

Q.当時「廃止」を念頭に置かれていたのか?

細川護煕 元総理
「意識としては完全にそうでした」

当時、細川氏と合意をまとめた自民党総裁・河野洋平氏もこう振り返ります。

自民党 河野洋平 元総裁
「5年後見直しという条件で、企業献金を廃止することで合意できた。公費助成が実現できたら、企業献金は廃止しなきゃ絶対におかしい」
※衆議院事務局「河野洋平氏のオーラルヒストリー」より

細川氏は「私達も当時もっと声を上げるべきだった」と後悔を口にする一方、“今こそ結論を出すべき”だと訴えます。

細川護煕 元総理
「政治改革、政治改革といって、口先ばかり言ってるんじゃなくて、私達はあの時点で最善だと思う方法を提示したっていうことだね。長年の宿題を、いい機会だからぜひここで片付けてもらいたい」

企業・団体献金めぐりマイナス・プラスを天秤に?

井上貴博キャスター:
自民党としては、5年後に見直すということで、廃止とは書いていないと主張しています。一方、立憲民主党は、企業・団体献金を廃止しますが、政治団体を除くとしています。

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
政党交付金をもらいつつ、企業・団体献金をもらっていると、二重取りになっていることは明らかです。どう見ても趣旨に合わないと思います。

この30年間、企業のコンプライアンスも厳しくなって、あまり費用対効果のはっきりしないお金を政治に出すこと自体がもう時代遅れなんですよね。なので、早いところやめようと切り替えるのは、新しい自民党に生まれ変わるという点でも大事だと思います。

ホラン千秋キャスター:
裏金問題で大変痛い目にあったわけですが、選挙のことを考えると、ここでしっかりやった方がこれ以上の悪い影響は出ないと思いそうですが、そうではないのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター星浩さん:
企業・団体献金をやめる
というマイナス、イメージをアップするというプラスを天秤にかけているんだと思います。今のところ企業・団体献金がなくなると、当面は困るという意見の方が強いのでしょう。

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<プロフィール>
星浩 さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年

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