今年の5月にNスタやまがたでは、新庄市の高校生たちが障がいへの理解をもって欲しいと絵本づくりに取り組んでいる話題を紹介しました。

その絵本が完成したという知らせが入り、取材に伺いました。

どんな絵本が出来上がったのでしょうか。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「手に取ってみて本当にまだ夢のような気持ちで。自分たちが今まで頑張ってきたものがこうやって形になってすごく嬉しいです」

高校生たちが絵本の制作に取り組んでおよそ1年。ハードカバーの立派な絵本が届きました。

タイトルは「ガラクタやまのひこうきさん」。

この本の中に彼女たちの思いが凝縮されています。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「障がいについて広く理解をしてもらったり、誰もが生きやすい世の中になるようにして欲しいという思いを込めて制作しました」

絵本を作ったのは新庄北高校と新庄南高校の3年生5人のボランティアグループ「たんぽぽくらぶ」です。

代表の渡邉水晶(わたなべ・みずき)さんが2年前、自ら仲間を募って「たんぽぽくらぶ」を結成しました。

養護学校の先生の話を聞いたり、視覚障がいの体験イベントを開いたりするなど障がいへ理解を広める活動をしてきました。

渡邉さんを動かしたのは発達障がいの弟の存在でした。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「今すごく世の中で多様性だったりうたわれる時代だと思うんですけど、その中でもやっぱり障がいに対して偏見だったり差別がまだあると思って、差別だったり偏見をできるかぎりなくして誰もが生きやすい社会になったらいいなと」

活動を進める中で、小さい頃から障がいへの理解を深めることが必要だと思うようになった「たんぽぽくらぶ」のメンバーたち。

ちょうど高校で鮭川村の絵本作家、ラーワ―ちひろさんの授業を受ける機会があり、絵本が持つ可能性を知りました。

これがきっかけで絵本を作り、新庄市内の幼稚園や小中学校などに贈呈することにしました。

去年の秋から始まった、絵本「ガラクタやまのひこうきさん」作り。

みな高校3年生とあって受験勉強や部活動で忙しい中、ラーワ―さんらの協力を受け、みんなで物語を考え、手分けして原画づくりを進めました。

絵本づくりに必要な資金はクラウドファンディングで募り、50万円以上もの資金を調達しました。

高校生たちの行動力には目を見張ります。

7月には30枚ほどの原画が完成し、印刷会社へ持ち込まれました。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「大変でした。みんなで分担して描いたからこそこうやって完成に持って来れたのかなと思います」

「たんぽぽくらぶ」をサポートしてきた新庄市役所の伊藤さんもここまでたどり着いた高校生たちを評価します。

新庄市役所 伊藤洋一さん「もうどんどん自分たちで進めて途中経過が時々分からなくなる。でも本当にそういうのが主体性だと思うので。心配しながら頼もしく感じています」

みどり印刷 茅野博 代表取締役「渡邉さんの熱意がきっと手にした方には伝わっていくんだろうと。印刷の仕上がりが悪いからこうなったというようにだけはならないように努めます」

そして10月、待ちに待った絵本が届きました。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「本当にきれいに印刷してもらって原画のように温かみのある絵本になったと思います」

絵本はパステル調で動物や飛行機のキャラクターたちが表情豊かに可愛らしく描かれ、小さな子どもにも親しみやすくなっています。



たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「この絵本ではガラクタやまにいて飛べなくなってしまった飛行機さんをいろいろな障がいの特性のある園児たちが協力して、自分の得意なことを生かして飛行機さんをもう1回飛べるようにしてあげようというストーリーになっています」

元気がなく身も心もボロボロだったひこうきさんは、きれいに修復され、昔のように南の島へ飛ぼうとします。

※以下、渡邉さんの読み

「これならまたとべるかも!」

「ひこうきさんはドキドキしながらとぶじゅんびをします」

「やっぱり、とべない・・・」

「どうしよう…」

「がんばって!っていう?」

「もうがんばってるよ」

「なんていってほしいんだろう…」

「みんながはなしているとき「そうだ!」うさぎさんがはしりだしました」

飛ぼうとしても飛べなかったひこうきさん。

そのあと、うさぎさんたちが取った心温まる行動とは?

「うさぎさんはひこうきさんにげんきになってほしくて、はなかんむりつくっ
ていました」

「みんなはそれぞれ、とくいなことやすきなことをして」

「ひこうきさん!みてー!みんなでみなみのしまをつくりました」

「すごい!ありがとう! こうして、とくべつなみなみのしまで、みんなはたのしくあそびました」 

「おしまい」

絵本には障がいへの理解や継続した支援、居場所づくりの大切さが盛り込まれています。

たんぽぽくらぶ 代表 新庄北高校3年 渡邉水晶さん「小さい頃からいろいろな性格の子や特性の子がいて、それでいいんだよというふうに、周りもそうですが一番は自分を受け入れられるような、自分を肯定してあげられるように読んでもらえるとうれしいです」

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