人気ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」のボーカル・後藤正文さん。2024年に入って何度も静岡県藤枝市を訪れています。SBSは、後藤さんのプライベートスタジオをテレビとして初めて撮影。後藤さんは藤枝から音楽業界に一石を投じようとしていました。
20年以上、ロックシーンの最前線を走り続けるバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」。全国ツアーの会場として、初めて藤枝市民会館が選ばれ、12月7日、8日と2日間公演が行われました。
「こうして自分が生まれた街、育った地域に帰ってきて、これだけのお客さんの前で演奏できるのは本当にうれしいです。ありがとうございます」(「ASIAN KUNG-FU GENERATION」ボーカル後藤正文さん)
後藤さんは島田市出身。2024年、お隣の藤枝市で若手ミュージシャンなどを支援するNPO法人を立ち上げました。同時に、茶倉庫として使われていた築130年の蔵をレコーディングスタジオに改修し、2025年秋にも滞在型音楽スタジオ「Music Inn Fujieda」をオープンする構想を明かしました。
“音楽スタジオとはどんなものなのか?教えて欲しい”。そう、依頼したところ、後藤さんが私財を投じてつくったプライベートスタジオに招かれました。テレビカメラが入るのは初めてのこと。“アジカン”の多くの曲がこのスタジオでつくられています。
「例えば、ソラニンだったら…タタタ~タ~ラララ~みたいな感じで、鼻歌でつくっていく。タ~タタ~ララララ~みたいな感じで鼻歌でコード進行とかをつくっていく」(後藤さん)
コード進行やメロディが完成したら、ギターやボーカルなどの音を収録していきます。スタジオで録った音を重ね、曲が形づくられていきます。
しかし、後藤さんのプライベートスタジオでは録れない音もあるといいます。
「すごい大きな音の鳴る低音楽器、ベースやドラムは録れないわけですよね。(ドラムの音を再生)この音は絶対僕のスタジオでは録れないんですよ。(ベースの音を再生)このベースの音もそう。この辺りの音、低音はパワーがあって、建物ごと揺れちゃったりするんで」(後藤さん)
天井や壁には、後藤さん自ら防音対策を施している上にこのスタジオは地下。それでも低音でパワーのあるドラムの音は、ここでは収録できないといいます。さらにー
「僕のスタジオだとシンバル立てて、ドラムセット組んだら、すぐに天井なので。叩いたらすぐ天井の音が跳ね返ってくるということなんですよね」(後藤さん)
藤枝の蔵は2階の床を取り外し、吹き抜けにする計画で、天井までの高さは約5メートル確保できるといいます。後藤さんがスタジオを作るために蔵を選んだ最大の理由は、蔵特有の天井の高さにあったのです。
Qなぜ、音楽スタジオを藤枝に?
「東京にいると、どうしても利益とか効率とかそういうものに追い立てられて、制作の現場が細っていく。僕はロックバンドは美しい表現形態だなと思う。関係性の中で「何か」は作られていく。それは、とても大事なこと」(後藤さん)
「Music Inn Fujieda」は「表現力を磨きたい」というミュージシャンの願いを叶えるスタジオだといいます。
「僕が死んだ後も(スタジオが)残って、藤枝や静岡の人、首都圏や名古屋の人とか、みんなが『あそこで録ってみたいよね』というスタジオになっていたらいいですよね。50年後とかに残っていたら、成功かなって感じると思います」(後藤さん)
藤枝市内の蔵を音楽スタジオにするためには、多額の改修費用が必要で、後藤さんたちはクラウドファンディングで5,500万円を目標に資金を募っていましたが、約2か月間で3000人以上の賛同を得て、目標額を達成しました。
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