SBCが加盟するJNN系列では、SDGsプロジェクト「地球を笑顔にするWEEK」として、持続可能な社会への取り組みを紹介しています。

今回取り上げるのはクルミの殻。
このクルミの殻から、なんとスタットレスタイヤや洗顔フォームができるんです。
「捨てればゴミ・生かせば資源」
クルミの殻を大変身させるその技術に迫ります。


午前7時、トレーラーが運んできたのは「クルミの殻」です。

持ち込まれた量は、およそ16トンにも上ります。

ここは、廃校になった体育館。

倉庫として利用しています。

古畑キャスター:
「うわすごい大量にありますね!こんなに沢山どこから仕入れているんですか?」


日本ウオルナット 羽田桃太朗さん:
「上田や東御が産地ではあるんですが、量がかなり必要になるので、基本はアメリカや中国などの海外から仕入れています。ここだけで300トンほどになります。これがクルミの殻です。仕入れる段階から粉砕がされてきている」

いったい、どうやって変身させるのでしょうか?

持ち込まれたのは、長野県長和町にある日本ウオルナットの本社工場。

まず行われるのが原料となるクルミの殻の検査です。

スタッフが熟練の技で作業を続けていました。

クルミの殻は芯が残っていたり、砕く過程で異物が混入することも珍しくなく、それを一つ一つ手作業で取り除いているんです。

その後は超高性能の機械にかけ、磁石も使って更に細かい異物を除去。


粉砕や振るいがけをして、純度、ほぼ100%の製品が完成します。

最後にきちんと基準を満たしているかをチェック。

粒の大きさや水分量を検査しますが、基準未満の場合は、工程を1からやり直す徹底ぶりです。

製品は、金属加工などで出る「でっぱり」を取るバリ取りのほか、楽器やメガネフレームの研磨などに使われます。

日本ウオルナットが使うのは、クルミの殻だけではありません。


あんずやももの種、それにトウモロコシの芯など。

廃棄されるはずのものを次々に資源として生き返らせているのです。

クルミの殻に着目したのは、先代の社長。


羽田義久社長:
「たまたまこの地区に大量に、産地だから(クルミが)あって、クルミを食べた後、捨てている燃やしているのがもったいないと、(先代の社長が)大変けちけち精神を持ち合わせていたようで、その殻を利用して粉砕して、家畜のエサにしようと思ったのが、一番最初のきっかけだと聞いています」

もったいない精神から研究を進め、アメリカではクルミの殻が、航空機のジェットエンジンの汚れ落としにも使われていることを知った先代は、在日米軍基地と交渉。

自社製品の出荷を実現させ、事業を軌道に乗せます。

さらに、会社が一躍脚光を浴びたのが、クルミの殻を使ったスタッドレスタイヤの開発です。

羽田義久社長:
「その時はちょっと信じられなかったですけど、最終選考までクルミの殻が残ったんだと、100以上の粉体を実験してみたけど、その会社はぜひその殻を使いたいということで言ってきて」

氷をひっかく効果がある一方、アスファルトを削ることもなく、クルミの殻を使ったスタッドレスタイヤは大ヒット。

評判は評判を呼び、様々な分野の企業から問い合わせが殺到しました。

クルミの殻は、今では、石鹸や洗顔スクラブ、そして大豆などの食品の研磨にも使われています。


羽田義久社長:
「もうゴミという発想がとっくに終わっていますね。今後も徹底的にクルミを研究してみたい。クルミを大切にしていきたい。クルミで今までなかったものを作りだしたいというのが私の希望だし夢」

クルミ愛に溢れる羽田社長は、自社のクルミ農園を作り2022年に初収穫。

限定品「長和チャンドラー」として販売にも取り組んでいます。

さらに!こちら「ナッツハウス」と名付けた応接室は、壁や、テーブルもクルミの木でできているんです。

「捨てればゴミ・生かせば資源」

クルミの木や実、そして殻まですべてを生かし、これからも環境にも人にも優しい製品を作り続けていきます。

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