沖縄の伝統工芸をお伝えします。
鮮やかな色彩が特徴の染物、「琉球紅型」といいます。
山梨と沖縄を行き来する男性の個展が山梨県中央市で開かれていて、男性は母を育んだ文化を守り伝えています。
花や鳥といった自然の造形を南国らしい鮮やかな色彩で型染めした「琉球紅型」。
「琉球紅型」はおよそ800年の歴史があるといわれる沖縄固有の染物です。
その作家 乙黒信さん52歳。
沖縄県在住で月に1週間ほど父親の家がある中央市に滞在しています。
「型彫り」という工程では、図柄が描かれた型紙をシーグという小刀で押すように切り抜いていきます。
そして型紙の下に置かれた土台となるのは…
西垣友香キャスター:
「土台の茶色いものは?」
琉球紅型作家 乙黒信さん:
「ルクジュウといって、沖縄の島豆腐を乾燥を重ねて作ったもの。ちょうど良い油分を含んでいるので、(掘るときに小刀が)いい感じに曲がるし錆びない」
「とても理にかなっているので(紅型作家は)現在でもこれを使って仕事をしている」
隈取りという工程。
顔料で色付けした上から、さらにボカシのための色をのせていきます。こうすることで紅型特有の美しいグラデーションが生まれます。
画家だった祖父の影響もあり、大学卒業後に服飾デザインを学んだ乙黒さん。
そこで琉球紅型に魅せられ、30歳で沖縄に渡りました。
その決断に大きく影響したのは、沖縄県出身で去年亡くなった母・美代子さんの存在でした。
琉球紅型作家 乙黒信さん:
「僕は昭和47年、沖縄返還の年に生まれた。なので母は復帰前にパスポートを持ってドルを円に換えて(山梨に)嫁いできた」
「その頃、沖縄は今よりもっと遠い場所。テレビで沖縄が特集されると食い入るように見ていた母をみて育った」
琉球紅型作家 乙黒信さん:
「僕たち家族にとって母は太陽のような人だった。沖縄には母を育んだ文化があり、同じく沖縄で生まれたのが紅型。自分の根源に触れられるような気がする、というのが(紅型を始めた理由の)根底にある」
中央市の玉穂生涯学習館には、今 乙黒さんの紅型作品が展示されています。
乙黒さんの作品は、古典的な紅型の伝統も受け継ぎつつ、独自の世界観や心の風景を描いています。
例えば「世界」という作品は…
琉球紅型作家 乙黒信さん:
「ここに像がいて、パーツの一つ一つがパズルのように動物が描かれている。周囲には四季折々の紅型の古典柄が配置されている」
「動物が集まり祈る形となっていて、一つの世界を形成している」
西垣友香キャスター:
「手を合わせるような…」
琉球紅型作家 乙黒信さん:
「祈る形になっていて、それが一つの世界であり、人間もその一員なのでここに(人の)赤ちゃんがいる」
西垣友香キャスター:
「ずっと見ていられますね」
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