手つかずの自然と海に囲まれた離島で送るスローライフ。移住体験プログラムやツアーが組まれるなど、近年、全国各地で注目されているライフスタイルの1つです。ただ・・・実際にその場所に住めるのか?家は?食事は?仕事は・・・?その実態は、謎だらけ。

今回は、山口県旅インスタグラマーの中野依里さんが、山口県萩市の離島・見島(みしま)実際に住んでわかった島暮らしのリアルをたっぷりとお届けします。

「見島に住んでみた」きっかけは?

中野さん
「見島に住んでいる地域おこし協力隊の方から連絡をもらって。1日2日では魅力を伝えきれないとのことだったので『じゃあ住んでみよう』と思い、今回10日間の移住体験を通して見島の魅力を全身で感じてきました」

「旅」ではなく、暮らしてきたということで、今回mixのカメラが、その暮らしぶりの一部に密着してきました。本当に移住することを考えたとき、見島とはどんな場所なのか?そのリアルをご覧ください。

山口県最北端の島、見島へ

萩市本土から北へおよそ45キロ、山口県の最北端に浮かぶ島、見島。人口669人、437世帯(2023年1月末現在)が暮らしています。

1月21日。中野さんの移住体験7日目です。スタッフが船で見島に到着すると、港の一角に段ボール箱がまとめて置いてあります。

スタッフ
「あそこで皆さん一旦荷物を受け取るんですか?」
中野さん
「そうですね、やはり島なので、定期的にダンボールや船に乗せられた荷物などがまとめられているので、そこに自分で取りに行きます。お家までは配達してくれないという現実も島のリアルとしてあります」

離島暮らし、生活に必要なモノはどうなっている?

中野さん
「ちゃんと駐在所もありますし。こちらはわくわくハウスといって、島の人たちが集まって自由にコーヒーとかが飲めるカフェです。こういった場所もあります」

そのほか島には商店が2軒、コンビニが1軒、飲食店が2軒、小学校、中学校、保育園が1つずつ。農協、郵便局、月に1~3回本土から理容師が来てくれるおしゃれな理髪店、診療所に歯医者、デイサービス、そして、ガソリンスタンドまで!暮らしに欠かせない施設は、ほぼほぼそろっているんです。

中野さん
「ここが今、私が寝泊まりしている「希(のぞみ)の家」というところです」

こちらは、普段、島の集会所として使われている場所。移住体験のため萩市の見島支所が特別に貸してくれました。

今回、こういった移住体験の段取りをつけてくれたのが、こちらの竹内徹也さん。東京で働いていましたが、島暮らしに憧れて、萩市の地域おこし協力隊に応募しました。主な業務内容は、見島のPR。SNSで島の日常を発信しています。

竹内さん
「働き口としては、今フェリー会社が募集しています。コンビニもありますし、郵便局も。島内の人はご高齢でバイクに乗って配達したりとかできないので、困ってらっしゃいますね」

住む場所には困らない?!空き家多数、補助制度も

困っていると言えば、見島には、空き家が多数。つまり、住むところはたくさんあるんです。市の空き家バンクにも1軒50万円で登録があります。修繕が必要ですが、『萩暮らし応援事業』で最大200万円の移住補助を受けることができます。

とれたものは分かち合うのが島の流儀

午後3時。帰ってくる漁師を出迎えます。

中野さん「お疲れさまです。お帰りなさ~い」

次々と箱に入れられる魚。

中野さん「大きい!うわ~」
スタッフ「漁師さんとはどういうお知り合い?」
中野さん「子ども食堂っていうのを月に何回かしているんですけど、ご協力いただいて、いつも魚を分けてもらってます」

子ども食堂とは、全国各地にある、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂のこと。見島では、新鮮な魚を全国各地の子ども食堂に直送するボランティア活動を行っています。実はこれ、全国初の取り組み。中野さんも手伝わせてもらっていました。

すると・・・漁師さんから、魚のおすそ分けが。

中野さん「いや~、ありがとうございます!」
漁師さん「農家の人には、野菜をもらったり米をもらったりする。みんな兄弟みたいなもんやから」

とれたものは分かち合う。それが、島の流儀だそうです。

きょうの夕食は?助け合いが食卓を彩る

午後5時。夕食の準備を始めます。

中野さん「急いでやらないと。島暮らしは本当に、時間が早いです」

夕食は、先ほどもらった魚。漁師さんの集会所にある共同キッチンで中野さん自ら捌きます。

漁師さん「上等、上等!」
中野さん「上等ですよね、お父さん優しい~」
漁師さん「身が・・・暴れちょるけど」
中野さん「ダメ!映さないで~」

上手に捌けなくても、漁師さんが教えてくれる。すべては、助け合いです。

離島のリアルな買い物事情

午後5時半、夕食の買い出しに出かけたところ・・・

中野さん「今からこのお魚を持って家に帰りつつ、商店で残りの買い物を…あっ、待って!?もう閉めちゃった!?」

シャッターに「都合により午後3時にて閉店させていただきます」と張り紙が。こういうこともあります。

これも日常の光景。ちなみに、日曜日は、すべてのお店がお休みです。

そのため、見島では冷凍庫3台持ちは当たり前、中には、8台持っているご家庭もあるそうです!

ということで・・・手に入るものだけでもと島唯一のコンビニへ。

中野さん「卵を買います。ペイペイで」

バーコード決済ができることも驚きですが、さらに驚いたのが・・・

中野さん「珍しいのは、輸送費かかるんです、10%。消費税とは別に。物価が高い(笑)」

新鮮な魚が食卓にずらり!

竹内さん宅へ向かう中野さん。

中野さん「ここのキッチンをいつもお借りしています。」

漁師さんにもらった魚と今ある材料で、夕食を作ります。

中野さん「まぁでもどうにかなるんですよ。どうにかなる、どうにか」

今晩は、ずらっと4品!お刺身に、マグロのユッケ風、つみれ、そして、焼き魚です。キッチンを借りたお礼に竹内さんにもごちそうします。

そして・・・また、陽が昇る。そんな、日常。

どんな問題も人が解決してくれる、島の温かさ

中野さん「すっごい楽しいです。欲しいときに欲しいものがすぐに手に入らないっていう現実はあるけれども、もうどんな問題も人が解決してくれる。見島の良さです」

有人離島の数が全国4位の山口県。見島だけではなく、島それぞれの日常に何気ない当たり前が隠れているのかもしれません。

(mixで2023年に紹介した特集から、ゴールデンウイークに家族で楽しんでもらいたい話題をピックアップしました)

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