ガソリンの価格が4週連続で値上がりしています。補助金の縮小により、今後どうなっていくのでしょうか?経済評論家の加谷珪一氏に聞きます。
12月19日からガソリンの補助金縮小
12月4日、経済産業省はレギュラーガソリンの価格を1Lあたり175円(2日時点)と発表しました。
本来のガソリン価格は毎月変動しており、1月は187.8円、7月は208.2円など幅がありますが、政府はこれまで補助金で175円前後に抑えてきました。
この補助金は物価上昇対策として2022年から出ていましたが、12月19日から順次縮小されます。
このため1月には店頭価格が180円に、2月には185円に上がる可能性が出ています。
恵俊彰:
大きいと思いますよ。家族で移動される方もそうでしょうし、物流もあるし、全ての価格に影響してくるわけじゃないですか。
加谷さん、本来の価格って我々見えてなかったんですけど、ずっと補助金で175円前後に維持されていたのが縮小されるんですね。
経済評論家 加谷珪一氏:
縮小なんですが、おそらく政府の本音はそろそろやめたいということではないかなと。トリガー条項の問題があるのでまだちょっと、政府与党内で意見の調整はついてないという感じじゃないかと思います。
ガソリン1Lあたりの小売価格の内訳は、ガソリン自体の価格に、石油石炭税、ガソリン税、さらに消費税がかかっています。国民民主党は、このガソリン税のうちの上乗せ分、約25円の撤廃を求めており、立憲民主党も同じように減税を求めています。
一方自民党は12月2日、「来年に向けて全体としての自動車課税や車体課税、燃料課税も含めて一体として考えていく」とし、議論は来年にするとの考えを示唆しています。
12月4日、国民民主党の玉木代表は「決して先送りすることなくこの年内で結論が得られ、来年からその結果がしっかりと国民に届くように」と訴えています。
恵俊彰:
これどうなるんですか?
経済評論家 加谷珪一氏:
今、国民民主党は年収の壁に関する交渉と、ガソリン税に関する交渉もやっているんですが、まだまだ年末にもつれ込みそうです。ガソリン税に関しては「来年も引き続き」という声がでているので、どういう見通しか何とも予想がつかない感じですね。
年末年始に・・・ガソリン節約術
年末年始は9連休となる人も多く、車で移動する方も多いのではないでしょうか?
ガソリンを節約するポイントです。
ポイント【1】
ゆっくりとアクセルを踏んで車を発進させる
⇒最初の5秒で時速20キロにすると、10%程度燃費が改善される
ポイント【2】
タイヤの空気圧を適正な値に調整する
⇒空気圧不足だと市街地では2%、郊外では4%ほど燃費が悪くなる。ガソリンスタンドなどで定期的にチェックしてもらうことが大切
ポイント【3】
トランクなどにいらないものを積まない
⇒100キロあたり3%燃費が悪くなる
ガソリン給油「19日までに済ませて」
12月19日から順次補助金が縮小されるのに伴い、早いところでは20日に値上げをするガソリンスタンドもあります。
加谷氏は、19日までにガソリンを満タンにしておくことを勧めています。
経済評論家 加谷珪一氏:
こんなことしか言えなくて申し訳ないんですけど、段階的に縮小で本当になくすのか、トリガー条項を外して減税をするのか、政治の交渉の真っ最中なので、とりあえずできることといえば、「(価格が)上がる前に満タンにしましょう」という感じになりますね。
車を使わない人にも影響が
ガソリンの価格が上がると、物流費が上がり、食料品・日用品など社会全体の物価上昇に繋がってしまいます。
経済評論家 加谷珪一氏:
物の移動には基本的には燃料費がかかりますので、見えない形でコストがどんどん積み重なってくる感じです。大元のガソリンが上がるといろいろな業界に波及していきますから恒常的な値上がりに繋がりやすいんですよね。
コメンテーター 小林よしひさ:
いろんな節約の方法があるとは思いますけれども、これだけ上がってしまうと大打撃になるので、いろいろ知恵を駆使するしか方法はないのかなと思います。
弁護士 八代英輝:
なんだか国内消費を刺激したいのか抑制したいのか分からないような制度だなと思います。これから冬に向かいますが、灯油もこれに入ってくるとなると、北国の方々とかメインの暖房器具に灯油を使う方がいますからね。
経済評論家 加谷珪一氏:
最終的には賃金が上がってくれないとやっぱり限度があるんですよね。
短期的にはいろいろ考えていると思うんですが、賃金を上げていく政策をちゃんとやっていただかないとなかなか難しいと思います。
(ひるおび 2024年12月5日放送より)
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<プロフィール>
経済評論家 加谷珪一氏
元日経BP記者 著書に『貧乏国ニッポン』
中央省庁などに対するコンサルティング業務に従事
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