(大石邦彦アンカーマン)
「愛知県岩倉市の岩倉団地に来ています。約2100世帯の暮らしを支える水道水からPFASが検出されました。皆さんの受け止めはどうなんでしょうか?」

岩倉市では、ことし5月から9月にかけて行われた全国調査で、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFASが一部地域で国の目標値に近い数値で検出されました。

問題の地域に住む住民は…。

(住民)
「水道水を飲んでいる。岩倉の水はいい感じで臭みも全然ない」
「対策も何も飲まなきゃ生きていけない。買うには高いし」

国の目標値は1リットルあたり50ナノグラム。
岩倉市は、それを下回ったとはいえ49ナノグラムとギリギリの値です。

(住民)
「入居を決めた後で、そういうニュースを見て。不安はあるんですけど決めちゃったし…。浄水器とかつけようかなと」

近隣の飲食店でも。

(近隣の飲食店)
「お客様には天然水のウオーターサーバーで飲んでいただいていますが…。万が一飲むと不安はありますよね。(調理に使う水を)沸騰したらいいのかなどはありますね」

40年以上団地に住む人は「地下水と聞いていて安心かなと思っていた」

(大石アンカーマン)
「団地内で一際目立つ建物が給水塔です。約2100世帯に、ここから水道水を送っています」

岩倉市2万3000世帯は地下水と県の水道を使っていますが、今回、目標値に極めて近いPFASが検出されたのは、地下水のみを使う東部の岩倉団地地区。
世帯数は市全体の1割に上ります。

(岩倉団地自治会 副会長 塚本秋雄さん)「飲み水だし、ご飯を炊くし」
(妻の美津江さん)「よく水を買ってくる方もいますが、ご飯炊く用とか。うちは全部水道水でやっちゃいます」

元市会議員で自治会の副会長も務める塚本秋雄さん夫婦。
40年以上、この団地に住んでいます。

(美津江さん)
「びっくりですよね。団地の水は地下水と聞いていて安心かなと思っていた」

(塚本秋雄さん)
「どこかで原因を見つけられれば対策が打てるのかなと。血液検査などをしていただいて、問題ないかどうかということも、国なり県の方でやっていただければ一番いいのかなと。そういう安心ができるような材料や行動があればいいのかなと思う」

来年度以降、愛知県の水を混ぜてPFASの濃度を下げる予定

この問題に、どう対応していくのかを市に聞くと…。

(岩倉市 上下水道課 田中伸行課長)
「目標値内とはいえ、近づいておりますので。もう対策をしなければならないレベルにあるというふうに考えております」

岩倉市では、これまで地下水だけだった岩倉団地地区の水道に来年度以降、愛知県の水を混ぜてPFASの濃度を下げる予定です。

(岩倉市 上下水道課 田中伸行課長)
「活性炭など除去施設みたいなものを造れば除去できるとは思います。ただし、すごくお金がかかる工事になりまして。費用のバランスを考えながら、そのときにできる最大の努力をして。当然、国の基準が変われば、基準に合うような施設が必要ならば造る。100%県水にするならするという判断を、これからしていきたいと考えている」

煮沸での減少はほとんどない…「浄水器、特に活性炭などが選択肢に」

PFASについて研究している京都大学の原田浩二准教授は。

(京都大学 原田浩二 准教授)
「地下水であれば、水源にはかなり上流から流れてきているということなので、遠い所にある施設でPFASが使われて徐々に流れてきたということも考えられる。周辺の井戸水も調査していって、上流がどこにあるのかを特定する必要はある」

現在1リットルあたり50ナノグラムの目標値を海外の基準並みに下げるべきだとも話します。

(京都大学 原田浩二 准教授)
「PFASについては煮沸での減少は、ほとんどないと考えていいです。まずこれは行政として、しっかり元の所で対策して濃度を下げていくことが必要。より下げたいということであれば、各家庭においては浄水器。特に活性炭など、ある程度PFASを除去できるということが分かっている物を使うことも選択肢にはなる」

水道水の希釈が始まるのは来年4月。それまで住民の不安とどう向き合うのか。
岩倉市にとって待ったなしの課題です。

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