人手不足に悩む北海道登別市の「登別伊達時代村」。忍者の技術が今世界から注目を集めています。

江戸時代の街並みや文化を再現したテーマパークとして1992年に誕生した「登別伊達時代村」。

迫力の忍者ショーや妖艶な花魁ショーを目当てに、外国人観光客も多く訪れています。

そんな人気の観光スポットが、いま苦境に立たされています。それは…。

登別伊達時代村 忍者演劇演出家 山田桂司さん(67)
「日本から時代劇がテレビや映画の世界から、少なくなってきてるんですね。日本の古来の文化も、消えていくような不安があるんですよね。忍者が足りない」

深刻な「忍者不足」にあえぐ、登別伊達時代村の奮闘ぶりをもうひとホリします。

2017年には40人ほどいた役者も、現在は30人まで減り、それぞれの演目に出演する役者を少しずつ減らすなどして対応しています。そこはさすがに「分身の術」で解決、とはいきません。

登別伊達時代村 芸能部座頭 神保利行さん(49)
「やっぱ忍者になってると、毎日動くので、もちろん体の痛いところというか、無理ができなくなるんだろうなとかは、現実味として、最近感じてるんですけど」

忍者の世界にも高齢化の波が押し寄せます。そんな中、明るいニュースが飛び込んできました。

登別伊達時代村 新人 穴澤維穏さん(18)
「おはようございます」

この春、仲間に加わった函館出身の18歳、穴澤維穏(いおん)さん。彼女の夢は“忍者”になることです。

登別伊達時代村 新人 穴澤維穏さん(18)
「ずっと小学校のころから、時代村にも遊びに来たりしていて、忍者ショーをみて、ほんとにかっこいいなと思って、ずっと思い出に残っていたので、そのときからずっと忍者好きでした」

保育園で見た忍者大図鑑がきっかけで、忍者が大好きになった維穏(いおん)さん。仕事として忍者を演じたいと思うようになったのは、高校生のときでした。

登別伊達時代村 新人 穴澤維穏さん(18)
「高校生のときに、函館野外劇っていう函館の歴史を伝える劇に参加したんですけど、そのときに箱館戦争で殺陣をやるシーンがあって、時代村で子どものころにみたあの殺陣だったり、アクションシーンとかっていうのを思い出してここに来たいっていうふうに思いました」

維穏(いおん)さんの役者としてのスタートは、江戸の町娘として、来場者を笑顔で迎えることから始まります。

登別伊達時代村 新人 穴澤維穏さん(18)
「おはようございます。お待ちしておりました。いってらっしゃいまし」
「これ着ると、シャキッっとして、お客様を笑顔にしたいっていう気持ちにパッって変わる感じはします」

孫ほど歳の離れた新人に、指導役の山田さんも期待しています。

登別伊達時代村 忍者演劇演出家 山田桂司さん(67)
「若い子はこうなりたい、先輩たちの動きを超えるんだとか、そういう希望ある世界じゃないですか。だからうれしいですよね。活気がでるんですよ。若い子が入ってくると」

7歳の頃からほぼ毎年、登別伊達時代村に通ったという維穏(いおん)さん。これからは役者のひとりとして、来場者を魅了させる側に立ちます。

登別伊達時代村 新人 穴沢維穏さん(18)
「夢はやっぱり、小さいころみて、かっこいい!って本当にビリビリしたような忍者ショーや、たくさん笑った侍ショーなどで、役者さんとして舞台で活躍して、小さい子供たちや見た方を笑顔にすることです」

忍者の高齢化が進む一方で、いま役者たちの高い表現力が買われ、ある依頼が舞い込んでいます。

それが「モーションキャプチャー」です。

モーションキャプチャーとは、実際のヒトやモノの動きをカメラやセンサーで読み取り、デジタル技術でリアルに映像化する表現方法です。

登別伊達時代村 芸能部座頭 神保利行さん(49)
「自分の体でみんなで表現していってる中で、機械で作った動きより、やっぱり人の自然な関節の動きだったり、そういうのがより再現できるので、今後そのアニメだったり、ゲームのCGだったりとかでも使われていくのかなって思います」

登別伊達時代村の役者たちが演じたアニメ作品は、世界に配信されました。

登別伊達時代村 忍者演劇演出家 山田桂司さん(67)
「いろんなクライアントの人たちが、演技、それを感動してくれるんですよね。えっ、北海道にこういう人たちいるの?って。だから彼らが、やってきたことはすごい大きいもので、そこを若い子が背中をみて追っかけてきてくれたら、最高かなとは思うんです」


登別伊達時代村では、これまでに5つほどの作品のアニメ制作に関わってきました。
札幌の制作会社「アレクト」のCGディレクター、安保英樹さんは、
「忍者や侍の壮大な演技を見て、洗練された動きに深く感銘を受けた」
「演出家の卓越した技術と精神に対する敬意が強かった」などといった理由で、モーションキャプチャーの依頼をしたということです。

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