「宗教法人としての活動がない」として、熊本県が二つの法人について裁判所に解散命令を請求しました。

熊本県が裁判所に解散命令を請求をしたのは、県内にある二つの宗教法人です。

宗教法人法では、役員の名簿や土地の財産目録などの写しを毎年提出するように義務付けています。しかしこの二つの法人は、これらの書類を県に2年以上提出せず、代表者も20年以上前に死亡して県の調査でも「活動実態がない」と確認されたということです。

県が確認できる中では、解散命令を請求したのは2002年に1件あるだけで、請求は22年ぶりです。

県によりますと、二つの法人については10月10日付で熊本地裁に、11月22日付で熊本地裁天草支部にそれぞれ請求しましたが、法人名や所在地などは「解散が決まるまでに名称などを明らかにすることは法人の不利益になる」として明らかにしていません。

国は宗教法人の優遇措置などが悪用される恐れがあるとして、活動実態のない宗教法人の判断基準や対策について、去年(2023年)、マニュアルを作りました。

熊本県によりますと、今年4月1日時点で県内に拠点を置く2812宗教法人のうち、活動実態のない法人、いわゆる「不活動宗教法人」は全体の約5パーセントにあたるということです。

県は今後、こうした宗教法人に対し、自主的に解散するように呼びかける方針で、必要に応じて裁判所に解散命令を請求するということです。

一方、今回の二つの法人は、県の請求が認められれば裁判所が法人を解散するための登記の手続きを行います。

実態のない宗教法人に潜む「税」と「犯罪」の関係

宗教法人になると、お布施やさい銭などの収入は課税の対象外で、宗教活動をするための土地や建物も固定資産税がかからない、などといった「優遇措置」があります。

国は実体のない法人が脱税や犯罪収益の移転、いわゆる「マネー・ロンダリング」などに使われる恐れがあると指摘しています。

熊本県によりますと、県内の宗教法人のうち約5%に活動実態がなく、今後も自主的な解散などを呼びかけるということです。

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