7月に山形県を襲った記録的な大雨で被災した老舗温泉旅館が今月、営業を再開しました。災害の発生からおよそ4か月がたちましたが、被災地では奮闘の日々が続いています。

7月25日、山形県を記録的な大雨が襲いました。山形県の北部に位置する最上町の瀬見温泉では山の斜面が崩落し、老舗の旅館「観松館」にも大量の土砂が押し寄せました。

ゆめみの宿 観松館 高橋裕 社長
「今は大浴場に雨水と泥が流れ込んだので、それの撤去作業をしています」

従業員総出で泥水を取り除く気の遠くなるような作業が続きます。本来、書き入れ時の8月は、すべての予約をキャンセルせざるを得ませんでした。こうした中、かけつけたのは、観松館の被害を知った地元の高校生たち。

高校生
「こういう時こそ助け合わないとダメじゃないかと思って」

復旧作業が進む一方、資金面の不安は膨らんでいきました。源泉を汲み上げるポンプの修理や浄化槽を新しくするためには1億7000万円ほどかかります。

さらに、高橋社長を悩ませていたのは営業再開後の運営費です。

ゆめみの宿 観松館 高橋裕 社長
「補助金とか助成金とかは、まだ1か月で出ていない状態なので、ほとんど。目途がたたない状態が長いと精神的にしんどい」

高橋社長は、クラウドファンディングで運営費を募ることにしました。そして…

ゆめみの宿 観松館 高橋裕 社長
「100日ぶりぐらいにお湯はって、やっとお風呂として使えるなとほっとしている」

大雨から110日目の11月11日、久しぶりに仕事着に袖を通した従業員たち。マスク越しでも笑顔が見えました。

ゆめみの宿 観松館 高橋裕 社長
「きょうは営業再開日なのでスーツと思って。気は引き締まりました」

宮城から訪れた人
「やっと来られるかなと思って」

京都から訪れた人
「温泉を楽しみたい」

ゆめみの宿 観松館 高橋裕 社長
「とても嬉しいです。従業員が一生懸命、復旧・営業再開に向けてがんばってくれたことにまずは感謝。支援してくださった人にも感謝の言葉を伝えたい」

クラウドファンディングで集まった支援金は、▼当面の運転資金や、▼温泉施設の修繕費など復旧に向けた工事に充てられるということです。

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